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ありがとう王監督
14年に渡ったホークス王監督の歴史が終わった。巨人の王、そして世界の王からホークスの王へ。弱小チームを3度のリーグ優勝、2度の日本一に導いた「名将」がついにタクトを置いた。
「秋分の日」の9月23日。これまでの苦しみ、喜び、悲喜こもごもを包み込むように福岡の空はすがすがしく晴れ渡っていた。福岡ヤフードームで行われた日本ハム戦後、王監督はユニホームからグレーの背広に着替え、辞任発表の記者会見に臨んだ。
会見場に集まった約100人の報道陣を前にした第一声は気遣いの王監督らしい言葉だった。「私の個人的なことで集まっていただき申し訳ありません。14年間お世話になりました。わがままな私を暖かく受け入れていただきありがたかった」。笠井球団オーナー代行、竹内COOと並んで臨んだ辞任会見。14年間のさまざまな思いが王監督の胸にも去来したのだろう。会見では珍しく目をはらして声を絞った。
ファンの声援に応え場内一周する王監督
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06年夏に胃ガンが発覚。胃のすべてを摘出するという大手術を終え、背番号「89」は復帰した。15キロほど体重は落ち、週に一度は点滴で栄養を補給しながらの采配だった。球団側が辞任の最大の理由としたのは「体力面の不安」だったが、責任感の強い王監督だけに低迷責任についてもしっかりと言及した。
「今考えると、昨シーズン後に選手たちに『来年は最後のつもりでやる』と、発言したことが変なプレッシャーを与えてしまったのではないか。よかれ、と思って発言したことがかえって選手にブレーキをかけてしまった。このことは14年間の中で一番の反省点」。
勝負の月と言い続けた9月は予想外の大失速。王監督も首をかしげるほどの黒星を積み重ねてしまった。「9月に入って信じられない戦いでした。この14年間でもとうてい考えられないような戦いだった」(王監督)と、会見の席でも唇をかんだ。
ホーム最終戦のセレモニーでナインから胴上げされる王監督
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試合終了後、辞任表明でいろいろな思い出を笑顔で語る王監督
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5年ぶりのVどころか、クライマックスシリーズ出場権となる3位以内も確保することなくチームは97年以来の11年ぶりのBクラスに沈んだ。「これは大きな転換期ではないか。そういうものを変える大きな流れが必要。本来の道筋に戻るためにも大切ではないかと思った」と、自らがユニホームを脱ぐことで王監督はチームに新たな息吹を吹き込もうとしたようだ。
辞任会見をこの日に設定したのは王監督ならではの配慮があった。翌24日は今シーズン最後のホームゲーム。試合後にはスタンドのファンに向けて恒例となっている監督あいさつが行われる。「自分の口でファンの人たちに(辞任を)伝えたかった」―。
福岡での王監督ラストゲームは、今季の戦いを象徴するような敗戦試合となった。だが、それでも博多っ子ファンは王監督におしみない拍手を送り続けた。選手たちとのグラウンド1周が終了すると、ホークス通算6度目となる「胴上げ」で王監督は4度宙に舞った。(日刊スポーツ新聞社 佐竹英治)
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