2008年2月号124ページに掲載

ゴルフ知恵袋

どんな種類のゴルフをマネジメントするか

●金谷 多一郎
(かなたにたいちろう)
 1960年生まれ。アマチュア時代に輝かしい実績を残し、日本大学卒業後の84年プロ入り。プロ通算1勝。明確なスイング理論と、わかりやすい解説が人気。著書多数。
 ツアープロのコーチングも務め、多数のプロを優勝に導く。95レッスンオブジイヤー、97年ベストティーチャー賞。
 2007年のシーズンも終わり、それぞれのツアーでの賞金王も決まりました。女子ツアーでは、上田桃子選手が史上最年少の賞金女王になりましたし、男子ツアーでは、高校生の石川遼君が公認ツアーに優勝してしまい、「ハニカミ王子」として注目され一躍ブームとなりました。シニアでも、青木功選手が日本シニアオープンで最終日65のエージシュートで逆転優勝したのは記憶に残る名場面だったのではないでしょうか。
 いろいろと話題豊富な日本のゴルフ界だったとは思いますが、対外的に見てみると、世界の勢いに少し遅れを取っているような気がします。たまたま11月、私がフランスに滞在していた時に、男子のワールドカップゴルフが中国で行われていました。ゴルフはあまりポピュラーではないために普段はサッカーや自転車のテレビ中継が多いフランスですが、ワールドカップだからこそ毎日中継されていて珍しく見入ってしまいましたが、ゴルフ先進国が優勝争いをしている中、日本は最下位争いをしている始末で特に残念に思いました。
 私自身が外国で中継を見ていたせいか、ナショナリズムへの思い入れの強さに自分自身がちょっとびっくりした感じでしたが、国を背負った世界のゴルフシーンで活躍すればもっと日本のゴルフ界も盛り上がるのではないだろうかと感じたことも事実です。
 世界3大ツアーと呼ばれている日本ツアーも、男女とも年々いろいろな国の強豪プレーヤーが増えてきています。そこで各選手たちは、レベルアップするツアーの中で上位ランクを維持し安定して賞金を稼ぐために、自分の身の回りをサポートするスタッフを年々増やして組織化してきているように思います。
 男女それぞれの賞金王である谷口徹選手と上田桃子選手の帯同キャディーは同一人物で、その手腕は注目されましたし、ツアーコーチに見てもらっているプロも年々増えています。そして、スケジュール管理はマネジャーが、体力作りはトレーナーというように役割分担がはっきりとしている企業組織のようになってきています。しかし、ちょっと観察してみると、男女のツアーでの組織関係は全く違うスタイルのようです。
 まず、昨今人気のある女子ツアーですが、選手層も若年化しているせいか、芸能プロダクションに所属する有望タレントが選手にあたるような感じがします。事務所の社長は親御さんであったりして、選手をうまくハンドリングしている中で、選手本人も周りの至れり尽くせりのサポートでスターになったような感覚です。周りにはマネジャーやトレーナー、ツアーコーチも従えています。息の合う帯同キャディとも契約を交わし、二人三脚でスコアメイクに専念しています。時にはコーチが帯同キャディーになったりして主導権を取り、選手は言われたとおりの戦略で、セットアップの向きをチェックされた中で打つだけの役割的存在となったりもします。「ただ打つだけのロボットになりたい」とコメントした上位ランクの選手がいるほど、女子ツアーの環境やレベルではプレーの分業化が進んでいます。
 一方の男子ツアーですが、こちらは選手自身がオーナー社長になっているワンマン経営の個人企業のようです。専属キャディーやコーチを同じように従えてはいますが、これらの人選は、オーナーの気に入ったチームで出来上がっています。言わずもがなゴルフのレベルはプレーヤーが飛び抜けて高いので、まずプレーのマネジメントを行うのは選手自身です。そのナビゲーターとして専属キャディーが仕えているという形になっているために、より選手のプレースタイルや性格などを理解していないと男子ツアーでのキャディーはなかなか務まりません。しかし、選手も優れた専属キャディーと意見が一致すれば鬼に金棒で、自信を持って決めたことをプレーできるわけです。
 また、コーチといっても「師匠」という感覚で選手が教えを請うわけではなく、選手がチェックできない見えない部分を指示されて確認したり、選手が意図する技術的な改革に対して合理的な方法を見つけたりする役目を果たしているケースが多いような気がします。
 これらのツアー選手のゴルフに対して、一般ゴルファーの私の考える理想的なゴルフスタイルのイメージといえば、職人かたぎな個人事業主といったところでしょうか。他人任せではなく、こだわりを持ってすべての役割を負って動き回っているといった感じが、レクリエーションとしての有意義なゴルフスタイルの形のような気がします。
 本来のゴルフの性質というものは、「審判のいない紳士のスポーツ」といわれているように、自然を相手にしながら自分自身ですべてのことに対処しながら進んでいくスポーツゲームです。
 ですから、コース戦略や道具選びなどはもちろん、上達するための練習方法や健康管理などを自分自身で試行錯誤しながら工夫していく過程こそが、本当のゴルフの魅力、面白さだと思うのです。
 カーナビゲーションをセットすれば思う目的地に自動的に到達してしまうような、プロフェッショナルなスコアオンリーの合理化されたゴルフを目指すのではなく、もっと過程や時間を大切に感じ、紆余曲折しながら、大きな意味でのゴルフの魅力にとりつかれて、趣味として楽しんだほうが奥深いゴルフを感じられるのではないでしょうか。

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