焼酎特集
ブーム去り“安定成長”へ
ブランドイメージ強化で消費拡大を図る
●各メーカーの取り組み
■薩摩酒造/■霧島酒造/■田苑酒造/■山元酒造/■本坊酒造/■大口酒造/■白金酒造/
■知覧醸造/■白露酒造/■長島研醸/■田崎酒造/■小鹿酒造/■大海酒造/■紅乙女酒造/
■玄海酒造/■西吉田酒造/■老松酒造/■壱岐焼酎協業組合/■高橋酒造/■繊月酒造/
■大石酒造場/■杵の川酒造/■長崎大島醸造/■山崎本店酒造場/■宝酒造/■アサヒビール
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協力/うまや大名店
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04年にピークを迎えた焼酎ブームが落ち着きを見せ、焼酎業界を取り巻く環境は大きく変化している。九州のメーカーでは麦や米、ソバなどが伸び悩む中、唯一イモの健闘ぶりが目立つ。原油高騰や焼酎カスの海洋投棄原則禁止に伴う設備投資などによるコストアップがじわじわと経営を圧迫している中、今後は各社がいかにブランドイメージを高められるかが生き残りのカギを握っている。
ブーム終わり安定成長
値上げ後の動向に注目
2けた成長が続き、異常ともいえるブームに沸いた焼酎業界だが、04年のピークを境に落ち着きを見せ始め 、現在は安定成長期に入ったと言える。03年には清酒の出荷量を上回り、本格焼酎が消費者に広く定着し、最も飲まれる国民酒となったのは確かだが、「造れば売れる」時代から消費者の厳しい選択を受けるようになった今、今後、他社との差別化を図り、生き残りをかけた各メーカーによる競争は一段と激化しそうだ。
国税庁の統計年報告による平成17年度酒類課税数量(表)を見ると、同年度の本格焼酎の消費量は53万8957キロリットルで、前年に比べ6566キロリットルの増加となっているが、伸び率は1.2%と微増にとどまっている。焼酎ブーム時には、毎年20−30%の伸び率を示していただけに、あまりにも対照的だ。また増加数量のほとんどをイモが占めており、そのあおりを受け、麦、米、ソバの伸び悩みが顕著になっている。ブームのピーク時、イモ焼酎メーカーでは原料のイモが大量に不足したことから、出荷調整を余儀なくされたメーカーが多かった。その反省を踏まえ、イモの買い取り価格是正や作つけ面積の拡大を図った結果、イモ不足が大幅に解消された。さらに冷凍イモの使用により、年間を通しての製造が可能になったことから順調な出荷を続け、伸びにつながったようだ。
だが好調が続くイモ焼酎メーカー間においても格差は徐々に広がりつつあり、資本力の乏しい中小メーカーは今後、一段と厳しい経営を迫られそうだ。ブーム時の需要に対応するため、工場を新設・増設したメーカーも多く、売り上げが伸びなければ、その負担が大きくのし掛かり、足かせとなるのは間違いない。
これに加え業界の競争激化に拍車をかけるのが大手ビール会社の参入だ。アサヒビールは鹿児島のグループ会社が造る「さつま司」を販売しているほか、麒麟ビールは昨年5月に紙パック入りの「麒麟本格焼酎タルチョ芋」を新発売。サントリーも03年から鹿児島の酒造会社と提携し「黒丸」を発売し ており、資本力に勝り、全国に広がる販売網を持つビール会社の参入は、九州の中小メーカーの脅威になっているようだ。
さらに昨年7月以降に実施された値上げの影響も懸念材料だ。焼酎カスの海洋投棄原則禁止に伴う処理設備や原油高騰によるコストアップから、1升瓶(1・8リットル)で100円程度の値上げに踏み切ったメーカーが多い。酒税法改正を除く約14年ぶりの価格改定だけに、どういった影響が出るのかまったく不透明だ。熊本県のあるメーカーでは「値上げ前は駆け込み需要があったが、値上げ後はその反動でかなり数字が落ち込んだ。その後、徐々に回復してきているが、ブームのピーク時と比べると約1割程度落ち込んでいる」と厳しい表情を浮かべる。また鹿児島のメーカーでは「値上げの影響はさほど出ていない。品質を落とさず、おいしい焼酎を造るためのやむを得ない値上げは、必ず消費者にも理解してもらえるはず」と各社の反応はさまざまだ。
上位50社売上高合計は
2年連続の前年割れ
緩やかな安定成長気に入った焼酎業界では、各メーカーの明暗がはっきり別れた感がある。信用調査機関の帝国データバンク福岡支店の発表によると、06年の焼酎メーカー売上高ランキング上位50社のうち、九州・沖縄地区のメーカーは前年と同じ43社。増収企業は前年の35社から9社減少し26社、増益企業は前年の25社を大幅に下回る10社となっている。
売上高のトップは4年連続で三和酒類(大分県宇佐市)。主力の麦焼酎は「いいちこ」は全国ブランドとして高い人気を持つが、イモや大手酒類メーカーの参入などで前年比1.2%減となった。3位は前年と同じ薩摩酒造(鹿児島県枕崎市)。「白波」ブランドで関東、関西にも販路を拡大しているが、伸び率は鈍化し、同0.7%にとどまっている。4位は霧島酒造(宮崎県都城市)。主力のイモ焼酎「黒霧島」が首都圏を中心に大ヒットし、工場はフル稼働が続く人気ぶり。同13.4%と突出した伸びを見せている。5位は前年4位だった雲海酒造(宮崎市)で、「日向木挽黒ラベル」「さつま木挽」などのイモ焼酎は堅調だったが、主力の麦焼酎「いいとも」ソバ焼酎「雲海」が伸び悩み、同4.8%減少した。
前年比売上高伸び率を見ると、最も大きかったのは4年連続で西酒造(鹿児島県日置市)の同35.4%増。主力の「富の宝山」「吉兆宝山」などが好調に推移した。また5位には年商100億円を超える企業で唯一2けたの伸び率を確保した霧島酒造が入った。伸び率上位10社のうち、鹿児島県勢が前年より2社増加して8社となり、上位50社のうち増収企業は前年より9社減少して26社になっている。
今後は各社のブランドイメージをより強固なものとし、大市場の都市圏、関西圏や東北地方、北海道など甲類市場への売り込みを図ると同時に、海外に目を向けたマーケティング戦略が今後の安定成長のカギを握っているようだ。
海外展開では昨年8月、鹿児島県酒造組合連合会と県内メーカー14社が中国・上海市で大規模な商談会を実施し、日本の焼酎を広くアピールした。中国では蒸留酒を湯や水で割って飲む習慣がないため、初めて経験する日本の焼酎が好評だったという。安心・安全な日本の食品は中国でも人気が上がっており、すでに薩摩酒造は上海事務所を置き、直接輸出を開始しているほか、小正醸造も2年前から国際事業部を開設している。現在は現地の日本料理店への販売が9割だが、中国での知名度が上がれば、計り知れない市場だけに各社とも積極展開を図る考えだ。
ブームが去ったとはいえ、まだ注目度が高い九州の本格焼酎。今後の動きを注意深く見守っていきたい。
以下、本格焼酎の本場・九州の各メーカーの取り組みを紹介する。
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