2007年6月号83ページに掲載


「守り」から「攻め」に転じるIT戦略とは

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 いまや、企業にとって欠かせない存在となったIT。目まぐるしい速さで技術革新を成し遂げ、この10年間で企業活動に大きな変革をもたらした。そして、さらなる環境の変化が訪れ、ITは「守り」から「攻め」へ、「支援ツール」から「戦略ツール」へと変ぼうを遂げている。留まることを知らない進化の中、ITは新時代に突入した。

迫る日本版SOX法施行
高まるITの重要性

  90年代に訪れた「IT革命」は企業活動において、「効率化」「省力化」「迅速化」を急速に促し、業務のあり方を大きく変えた。しかし、現在、ITは従来のような業務支援的役割に留まらず、企業の競争力を高める重要な「戦略ツール」となっている。その傾向をさらに助長しそうなのが、08年4月から実施される「金融商品取引法」による内部統制の義務化、いわゆる「日本版SOX法」の施行だ。
 これはエンロン事件など大規模な粉飾決算事件によってアメリカで02年に成立した米企業改革法(SOX法)の日本版で、これにより上場企業は業務の流れを明確化し、自己点検と会計士による外部監査を受け、決算期には内部統制報告書の提出も義務づけられる。これまで日本の商慣習の中で認められていた売り上げ計上の手法が通用しなくなる側面もあり、企業にとっては大きな「パラダイム」の転換を強いられることになる。
 この法整備に対応して、導入や刷新の必要に迫られるのが、各企業の財務や管理のシステムだ。新たなシステム導入により、法が定める高いハードルをクリアしなければならないが、「現段階では企業が2000年問題ほどの危機感を持っているようには感じない」( あるソフトウエア会社)。しかし、企業自らがルールや統制範囲を決め、考えられるリスクを洗い出し、その対策を練らなければならない上に、施行後は業務プロセスを文書化し、保存するといった作業も必要となるとなれば、企業にとってITによるシステム整備が必須の課題であり、それが明記されているのが、日本版SOX法の特徴だ。
 実際、この「日本版SOX法]施行により、07年のIT投資は05年の約90億円を大きく上回り、2500億円にまで達すると言われている。文字どおり、システム開発業者にとっては大きなビジネスチャンスになるのだが、それをつかむためには、これから内部統制を担うシステム開発・販売だけでなく、コンサルティング体制を強化し、システム導入の必要性を企業に説くセミナーや展示会開催に力を入れていく必要がある。


中小企業に導入気運が高まる
ERPパッケージ

 内部統制機能も含めて、最近、導入ニーズが高まっているのがERP(統合基幹業務)パッケージだ。会計、販売、生産等のデータを一元化し、相互に情報を把握することで、会社全体の経営状況をふまえた上で、各部門が業務を遂行することができる。また、データが一元化することで、その二重入力の危険性がなくなり正確性が高まるなど、これまでの個別パッケージによるシステム開発や、手作りのシステム開発に比べてメリットが大きい。ただ、今まで導入してきた企業は各部門の独立性が高い大企業が中心だった。しかし、最近ではITインフラが整いつつある中小企業においても、その導入気運が高まりつつある。
 その背景にはベテランのシステムエンジニアが大量退職する、いわゆる「2007年問題」がある。これまでのシステムを熟知していたベテランエンジニアが去ることで、現在のシステムの運用自体が難しくなる。その際にこれまでのシステムを捨て、ERPパッケージなどを導入することで、「攻め」のシステム構築をする中小企業が増えている。また、株式公開を考える企業にとっては一元化した正確なデータを持つことで、監査などに向けて、即座に経営状況を示せる点も大きな魅力となっている。「大企業の場合は各部門ごとに理解を得る必要があるので、導入に時間と労力がかかる。しかし、中小企業は経営者が現場をよく知っており、導入に対する判断には時間がかからない」(福岡県情報サービス産業協会・平石勝之会長)というように、ERPパッケージに限らず、新しいシステム導入には中小企業こそメリットがある。特にITがこれまでの経営効率化ツールから重要な戦略ツールとして移行している現在、ERPパッケージの早期導入は企業活動の明暗を分ける一つの事例と言ってよいだろう。

IT格差が生む企業格差
重要性増すCIOの存在

 最近の企業にはCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)と同様に、CIO(最高情報統括責任者)という役職が設けられ、その存在の重要性が増している。役割は企業の業務全体の可視化・最適化、システム導入の企画・実現など、「情報」という分野で企業メリットを高めることだが、組織内の部署間の相互接続や標準化が進み、国際標準が拡大している 昨今、IT投資や、ビジネスニーズとの連携を考える上で、ますます欠かせない存在となっているのは確かだ。言ってみれば「攻めのIT戦略」を具現化するキーパーソンであり、そのCIOの存在感が増しているということは、それだけITが企業戦略にとって重要な要素となっていると言えるだろう。
 00年にe(イー)・ジャパン構想が唱えられたように、05年には「u(ユビキタス)・ジャパン推進計画」が立ち上がった。 ボタン一つで家電製品などを通じ、社会にネットワークを構築していく計画だが、これに伴い、さらにIT技術が進化し続けていくことは言うまでもない。例えば、これまで企業のIT戦略と言えば、オフィスでのパソコン利用が主流であったが、「これからは携帯電話利用が主流になることもありえる」(平石会長)。また、電子マネー、電子決済、個人認証システムなどが一般化すれば、企業に求められるサービスも多様化していくだろう。
 企業にとってはいかにIT技術を導入し、うまく活用していくかが生命線となる。うまく活用さえすれば、その規模に関係なくシェアを勝ち取ることもできる。まさにIT格差が企業格差となり、その戦略化が企業の命運を左右する時代に突入した。次ページからは、その技術力とアイデアで企業活動を強力にサポートするIT関連企業を紹介する。

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