深化続ける住環境と利便性 MANSION 2007
「個性を売り出すマンション。
自分に合った物件選びのチャンス到来」
マンションは個性化・多様化の時代へ
これまで福岡都市圏に集中していた九州のマンション供給。それが九州新幹線や自動車関連産業の進出によって、各地に分散化が進んでいる。また、福岡都市圏ではファミリー型に加えて、セカンドハウス用など、多様なニーズに応えるマンションが出はじめている。企業業績が回復し、所得が好転していると言われる今、購入者にとって改めて「自分に合ったマンション選び」ができる時期が到来した。
福岡市で進むドーナツ化
大手進出で競争さらに激しく
2006年の九州・沖縄全体におけるマンション供給は1万1409戸、うち販売戸数は6415戸であった(九州 産業研究所 調べ)。これは05年に比べて供給で10%、販売は22%ものダウンとなり、供給が需要を大きく上回る現在のマンション事情を示している。 その中で最近、特に顕著なのが、福岡都市圏における「ドーナツ化現象」である。毎年5000戸以上の新規物件の供給が続くものの、都心部の土地取得が困難となり、自然と郊外物件へとシフトし始めている。土地の取得が難しくなった理由について、福岡市のマンション事情に詳しい木村地域計画研究所は「景気低迷により企業が手放していた不良債権用地や社宅などが減少したことと、中央大手デベロッパーやファンドの進出によって土地の価格がつり上がったこと」と分析する。
一方、3月22日に国土交通省が発表した07年の公示価格によると、福岡都市圏は15年ぶりに地価が上昇、特に11年の九州新幹線全通を見込んだ博多駅周辺の上昇が目立った。中央区でも住宅地で9.7%上昇し、福岡都心部の地価は一部で「バブル再来」とやゆされるほどの様相を呈している。これにより地場デベロッパーが周辺部へ進出。「都心部好立地マンションと郊外型ファミリーマンションに二極化し、周辺部が厚みを増している」(フクニチ住宅新聞社)。
また、この「ドーナツ化現象」は価格面での二極化をも生んでいる。福岡都心部の物件販売価格は上昇の一途をたどっており、一部には「億ション」と呼ばれる物件も頻繁に売り出されている。その一方で、周辺部では、いわゆる「価格競争」が続いており、以前よりもさらに低価格のマンションが乱立している状態だ。しかも「都心部の高価格物件ほど販売が順調で、周辺部になればなるほど、たとえ安くても売れ残りが目立つ」(フクニチ住宅新聞社)。
「一本でも通りが違うだけで購買層の反応は違ってくる」(地場デベロッパー)と言われるマンション業界。現在はそれが如実に現れている状況だと言える。しかし、福岡都心部の好立地はすべて無くなったかと言えば決してそうではない。例えば、現在、各業界に巻き起こっている再編により、再び好立地物件が現れる可能性がある。特に地方銀行再編に伴う支店統廃合があれば、大通り沿いの好立地物件が突然供給されることになる。
地場、中央大手、そしてファンドを含めた福岡都市圏における土地取得合戦はこれからも続きそうだ。
活気づく鹿児島と沖縄
中規模都市にも注目
これまで九州では福岡都市圏に集中していたマンション供給も数年前から九州各地へと分散を見せている。特に動きを見せているのが鹿児島と沖縄である。
鹿児島市では新幹線開通と集団住宅建築を禁じていた観光地区等の撤廃により、福岡と中央デベロッパーの進出が目立っている。05年には福岡市、北九州市に次ぐ1158戸の新規供給があり、新規販売戸数に至っては、841戸で北九州市を上回った。JR九州(福岡市)も鹿児島市を新幹線全通に向けた大きな拠点と捉え、07年1月に初めてマンション販売を開始した。
沖縄は最近増加している関東圏、関西圏からの転入者や、Uターン向けの物件が開発され、那覇市を中心に05年には620戸の新規供給があった。進出しているのは主に中央大手デベロッパーで、マンション販売全国上位の穴吹工務店(香川県高松市)も07年4月から沖縄での活動を開始した。
また、九州北部の中規模都市にも供給熱が高まっている。福岡県内では近隣地域への自動車産業集積により、需要が見込まれる行橋市と久留米市、九州新幹線開通により、駅前開発が進む大牟田市、現在でも3本の高速道路が交差し、交通の要所としての役割が高まる佐賀県鳥栖市などでマンション建設が活発だ。特に久留米市は中央大手デベロッパーによる280戸の大型高層マンション建築も進んでおり、今後の需要動向が注目されている。
多様なコンセプトを持つ商品が登場
より顧客が選べる時代へ
豊富な供給戸数は、裏を返せば、購入者にとって商品の選択肢が広がっているということである。それを表すように最近は従来のファミリー向けとは一線を画す「個性」をウリにマンションが次々と出始めている。
積水ハウス 福岡マンション事業部は2年前から単身女性やDINKS、富裕層のセカンドハウス向けとして、40〜60平方メートルで1LDK、2LDKというコンパクトマンションを売り出している。価格は2500万〜3500万円で主に福岡市中央区に展開しているが、都心の利便性を重視する層にターゲットを絞ったことが功を奏し、販売を伸ばしている。
また、西日本鉄道(福岡市)は数年前に同じ敷地内に介護用シニアマンションが隣接する分譲マンションを建設した。併設により、自らの家族だけではなく、介護が必要な親が隣に住める。共有施設として診療所や託児所、茶室なども充実しており、新たなコミュニティー創造型マンションとして注目されている。
他にもフルオーダー型やペット対応型など、今までの画一的な商品群と異なったコンセプトを持つマンションが販売を伸ばしている。この背景には少子高齢化や団塊世代の引退など様々な要因が挙げられるが、最も大きいのは「生活スタイルの多様化によるニーズの細分化」(中央大手デベロッパー)だろう。いずれにしても、マンション業界もここに来て「商品企画力が問われる時代」(九州産業研究所)に突入し、購入者にとっては、より自分たちのスタイルや要望を実現できるマンション選びが可能な時代になったと言える。
金利上昇、消費税率アップ前に
マンションは今が買い時
マンション購入者にとって気になるのが住宅ローンを組む際の金利と消費税だ。06年7月に日銀がゼロ金利解除を発表、07年2月には追加利上げに踏み切ったことで各金融機関の住宅ローンの変動金利がアップした。金利はさらなる上昇が見込まれており、それに応じて短期プライムレートが引き上がれば、住宅ローン金利の上昇は必至だ。また、ローン残高に応じて10年間、一定額を所得税から控除する「住宅ローン減税」が08年まで適用されていることを考えれば、住宅ローンは今が組み時だと言える。
さらに安倍内閣は近い将来の消費税率アップを明言している。仮に税率が3%アップして8%になった場合、2000万円の物件を購入すると、結果的に60万円の支払い増となるわけで「地価が上昇し、将来的に価格に反映されることもかんがみれば、マンションは今が買い時」(地場デベロッパー)かもしれない。
多くの人にとって、住宅は一生に一度の大きな買い物である。当然、購入時には多くの要素を考慮するが、その中でもデベロッパーの考え方や信頼性は重要な選択肢となっている。次ページからは高い商品力とサービスを持ち合わせた各社のコンセプトと展望を紹介する。
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