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企業の採用担当者による座談会「自分の夢を実現できる企業を見つけてほしい」
景気回復とともに各大学の就職率は軒並み前年を上回り、バブル期以上との声も聞かれるほどだ。日本経団連が行った調査では、新入社員採用で企業が最も重視するのは「コミュニケーション能力」「チャレンジ精神」「主体性」の3つという結果が出ており、就職希望者は面接官から働く意欲、社会を生き抜く力などを試されることになる。企業の生命線というべき人材確保を担う人事担当者に採用予定数、ポイント、入社後の人材育成などについて率直な意見を語ってもらった。(ホテル日航福岡にて)―今日は各社の採用担当者に集まってもらいました。まずは各社の業務内容についてお話しください。 宮原 当社は昨年4月、JTBの持ち株会社移行に伴い設立された地域法人です。現在、九州を拠点に国内、国外を問わずさまざまな旅行業務を展開しています。せっかく九州に拠点を置いたわけですから、より地域に密着し、地域貢献や地域発展に役立ちたいと思っています。特に今後は東アジアに期待しています。中国、台湾、韓国などは大きなビジネスチャンスです。 旅行業は個人から団体、企業、学校などいろいろな形態がありますが、すべての方がお客さまになっていただける業種です。なにぶん新会社としてスタートしたので戸惑うことも多いのですが、まずまず順調な滑り出しだと思っています。 ■本 当社はタクシーやトラック用の業務用無線や市町村防災無線などを販売していましたが、現在ではITソリューション企業としてお客さまの基幹業務やネットワークシステムの開発、アプリケーションパッケージの適用など幅広い分野で展開しています。 おかげで業績も順調に推移し、42年連続黒字を達成、さらなる発展を期し、1月1日から本社を福岡に移転しました。それとまだ規模的には小さいのですが、環境問題を考え、パソコンのリサイクルセンターを開設しました。またリユース再利用の中古パソコン市場向けにウエブに特化したショップを始めました。 下薗 もともと当社はホームセンターなどに園芸用散水ノズルなどを販売し、シェア60%を超えていました。水にかかわる企業として次に生まれたのが浄水器事業です。しかし蛇口に取り付けるものだと、どうしても別の機種に取り換えられてしまうため、どうしたらそれを防げるかを考えました。こうしてできたのが、蛇口の中にカートリッジを組み込んだ一体型の浄水器です。 発売当初は販売ルートを確立するまでかなり苦労しましたが、今では全国の新築分譲マンションの35%、北九州では86%のトップシェアを持つまでになりました。中のカートリッジは一定期間が過ぎると交換が必要ですから、売ったら売りっぱなしというわけではなく、お客さまとずっと長い関係が続いていくことになります。ですから当社では自社内にコールセンターを置き、エンドユーザーからのお問い合わせに24時間対応できる体制をとっています。 ―各社の新卒採用数、方法基準などを教えてください。 宮原 私どもは大学も学部も一切関係ありません。あくまで人物本位で採用しています。今年4月採用の新卒者は31人、これに社会人経験者などのキャリア採用14人を加えた合計45人を採用しました。新卒者に関しては来年も30人前後を計画していますが、いい人材がいればもっと多く採用します。学部は不問ですが、なかには理系の方も来られます。お客さまにはいろいろな業種の方がおられるので、大学で学んできた専門分野がまったく無用になることはなく、お客さまの課題解決につながることなどが多々あります。 採用方法は秋ごろから大学での企業説明会などを行い、ホームページによる会社案内を行い登録をしてもらいます。その後、、エントリーシートに記入してもらい適性検査、筆記試験、面接となりますが、あくまで面接重視です。面接は3段階ですが、大事なのはお客さまの信頼を得ることです。旅行は形もありませんし、過去に実績があっても、お客さまの要望は変わるわけですから、それに合った提案ができるかどうか。これは店頭でも団体営業でも同じです。当社では熱意があり、正直者、お客さまのことを第一に考えることができる人を選んでいます。考え方も肯定的で、受け身じゃなくポジティブで、常に何かをして差し上げたいという意欲を持つ学生を選んでいます。 ■本 今年4月入社は9人を採用します。来年はさらに増やし25人を計画しています。これまでは業務系のシステムを構築するエンジニアを主に採用してきました。彼らは技術力はもちろんですが、相手との折衝力が最も求められたわけです。しかし昨今では、携帯電話やカーナビなど組み込み系と言われる需要が非常に増えてきました。そこでこれらに対応する技術者を求めています。 採用方法は適性検査で基準をクリアした人が筆記試験、面接へと進みます。最終面接は社長自らが行うのが通例となっており、内定は2週間ぐらいで出します。なかには面食らう学生さんもいますが、IT業界は非常にスピードが重視されますので、意思決定の早さも当社にマッチしているかどうかの見極めになります。 下薗 当社は今年4月入社が35人。そのうち21人が大卒です。職種は営業および開発、製造になりますが、なにぶん開発設計職が不足しています。来年はさらに増やし、高卒、大卒合計40人程度を予定しています。 採用方法は合同説明会後に選考会を行い、そこで適性検査やグループディスカッションを行います。2次面接では各担当課長の面接があり、それを合格した人が3次面接となります。ユニークなのは、2次と3次の面接の間に工場見学をしてもらい、そこでものづくりの現場を肌で感じてもらうようにしていることです。また当社では“リクルーター制度”を活用しています。この制度は学生と年が近い若手をリクルーターに任命、いい学生を見つけ出すことを使命とします。今年は全国で28人が任命されました。リクルーターは会社説明会で会社の説明を行うほか、自身の就職体験談を語り学生とより親しくなります。最終面接まで細かにフォローするので、ずいぶん効果が表れているようです。採用者になぜ「タカギ」を選んだのかを聞くと、面接者やリクルーターがよかった。親身になって面倒を見てくれたこの人たちと一緒に仕事をしたいから選んだ、というのが圧倒的に多かったですね。 ―数年前の就職氷河期と言われたころと比べると、採用数はかなり増えているようです。各社、採用にあたって最も重視している点は何でしょう。 宮原 まず見た目の印象が大事です。印象を受けるものは所作、服装、表情などいろいろありますが、まずその人に好感度が持てるかどうかです。それから進んで内面の精神力、物事を解決していく力などになります。よく学生さんが企画力を生かせる仕事がしたいと言いますが、自分で何かを考え、企画するのが企画力ではありません。当社の中で企画力を生かせる職場はあらゆる所にあります。店頭ではお客さまが何を望んでいるかをうかがいながらその解決にあたっていく。営業先に行っても、旅行商品を作るにしても同じことです。まずは自分がどうやって行こうかという自覚を持つことが必要です。 ■本 当社もソリューション提案をしなくてはいけないので、明るくて好印象の学生を選びます。また素直であることも大事です。IT技術は日進月歩ですから、素直に勉強意欲を持ち、教えられたことを素直に聞くことが大事ですね。またチャレンジ精神も必要です。お客さまに提案をするというのは、自分なりの思いを持ってチャレンジしていくことですし、先輩がやってない新規分野にあたるときは、自分が切り開くのだというチャレンジ精神が必要です。 また一方で、カーナビなど自動車産業などはのめり込んでやるぐらいのマニアック的な要素が必要で、その辺はバランスを見ながら採用をやってます。 下薗 今、おっしゃられたように技術者についてはマニアックな部分も必要だと思います。 当社が重視するのは発想力豊かで素直なことです。そして何よりタカギが好きなことです。ですから相思相愛の学生に対してはこちらからも積極的にアプローチしますし、そういう学生にはぜひ来てほしいですね。 ■本 タカギさんは散水ホースや一体型浄水器などユニークな製品が多いですね。 下薗 そうですね。確かに当社のヒット商品はいずれもユニークな発想から生まれています。当社社長も製品になるならないは別にして、とにかくアイデアを出すように、いつも言っていますよ。アイデアには柔軟さが必要です。例えば仕組みの分からない商品があったとき、全部分解して中身を調べてみるような好奇心、探求心のある人がいいですね。 ―難関を突破し入社した後の社員教育、研修など人材育成プログラムをお話しください。 宮原 当社は入社後4年間が能力開発期間となります。ちょっと長すぎる気もしますが(笑)。この4年間は評価もあまり厳しく行わず、あくまで能力を伸ばす期間と位置づけています。研修としては入社後、3日ほどJTBグループとしての理念、概要、行動など基本教育を行い、次の4日間、旅行実務の研修を終了後、各職場に配属となります。 ひとたび配属されれば、仕事をしながら覚えていってもらいます。職場では年の近い2、3年目の指導社員が1人ずつ担当し、新入社員に対し日常業務のあり方、振る舞いなども指導します。もちろん個所長などもフォローします。そして8月ぐらいに再度招集し、新入社員の成長具合を確認します。この間、実務教育をはじめ旅行を仕事としていく上で必要な資格取得、団体旅行の勉強、海外旅行の仕組みなどを随時やっていきます。研修は課長・所長になろうと各レベルで行っていきます。そのほかにも、旅行会社らしく研修旅行を行い、自身で旅の楽しさなどを味わってもらったりもしています。 下薗 私も旅行好きですが、最近の旅行形態に何か変化が見られますか。 宮原 そうですね。よく言われるのが団体旅行から個人旅行へ、ですね。添乗員がお供するのではなく、ご自分で動かれる方が増えました。そういう方がどこへ行きたいかを把握し、手配をする。より細かな勉強をしないと情報量豊かなお客さまに置いてきぼりをくらうことになります。お客さまは事前に行き先をホームページで情報収集した上でご相談に来られるわけですから、こちらが常に勉強しておかないといけません。 ■本 やはりどんな業種でも、勉強が第一ですね。当社の場合、ほとんどがSE希望で入社してきます。こうした社員を管理部門預かりとし、社会人としての基本を1週間かけて教育し、その後、営業職、SE職ともに2カ月の研修を行います。この間、当社のリサイクルセンターで解体作業を行ったり、一通り当社の仕事を経験させます。こうして半年後に正式配属になります。 また新入社員には入社前からカリキュラムを提供し、社会人としての意識づけを行っています。システムアドミニストレーターや簿記3級の資格取得を入社前に課しています。入社前の研修は本業に支障を来すのではないかとの心配もありましたが、逆に内定者から入社日までを準備期間として有意義にするために勉強したいとの声があがり、それに応える形で、今ではすっかり定着しています。 また当社は「人とみどりとソリューション」というコンセプトで環境を大切にする企業を標ぼうしています。その一環として、環境意識を高めたいとの思いから社内の「みどりの委員会」のメンバーが新入社員を引率し、熊本の五ケ瀬村でトレッキングを行い、自然の大切さを学び、それをレポート提出させるなど、プレゼンテーションの訓練を兼ねた研修も行っています。さらに入社半年後以降はキャリアマップを作成し、入社後4年目までに技術や業務知識など学んでほしいことを具体的に示すほか、管理職は社会人大学校研修で学ぶなど役職に合わせた研修メニューを作成しています。わが社には珍しい単独10日間の海外研修もあります。ホテルや各チケットなどの手配も自分で行います。会社からのテーマは3つだけ。ポーランドにある関係会社を訪問すること、ネットカフェなどから上司へメールすること、アウシュビッツを訪問することなど若い人に感動を与えるのが目的です。 下薗 入社後は1週間の座学研修、ビジネスマナーとコミュニケーションの研修を行い、その後、約1カ月製造現場で実際にものづくりを体験し、どういう工程で製品が出来上がるのか、またどういう部門がどうかかわっているのかを勉強していきます。 また入社前は、通信教育を受けてもらいます。それは学生気分を一掃するためで、通教では新入社員としての簡単なマナーや基本を学びます。また設計職は基本的な製図や図形の理解などを勉強します。ほかにも3月の大学卒業後、大分のレゾネイト・クラブに社長と新入社員、リクルーターが集い2泊3日で入社前研修を行います。当社が作ったペットボトルロケットを飛ばしたり、アイデアを出しあいながらディスカッションを重ね、いいアイデアには社長賞の金一封が送られます。 タカギはこれまでしっかりとした研修制度が確立されているとは言えない状況にありましたので、今後、新入社員をはじめ社員の能力開発のプロジェクトを組み、システムを作り上げていこうと考えています。 ―みなさんの会社ではインターンシップを行っていますか。 宮原 はい、たまに受け入れを行っていますが、そのまま入社したことはありませんね(笑)。 ■本 佐世保で中学生、高校生を対象に行っています。本採用は大卒者を採用していますので、当社もインターンシップ経験者がそのまま入ることはありません。 下薗 当社は昨年、一昨年に行いました。大学生は2週間、実際に営業に同行し、現場での活動を経験してもらいました。当社に対する感想や改善策を出してもらい、素晴らしい学生がいましたが、残念ながら採用には結びつきませんでした。しかし当社に4月入社予定者は他社のインターンシップを経験済みですから、インターンシップ即入社とはならないようですね。 ―最近の学生は一般常識が乏しく、入社後の研修に苦労する声も聞きますが、面接に来る学生たちの変化がありますか。 宮原 そんなことはないですよ。逆に面接の時は私どもの会社のことをとてもよく勉強されてて、好感が持てますね。会社の状況や業務内容などよく知っています。インターネットで調べているのでしょう。ずいぶん熱意があると心を動かされますが、実は知識の部分だけ整えている方が多い。ですから本音をもっと話してもらい、さっき下薗さんが言われた会社と就職希望者が相思相愛にならないといけませんね。 これは入社後の話ですが、世の中の常識はどんどん変わっていますし、さまざまな場所により常識や価値判断も変わってきます。その辺を素直に受け入れて自分はどのスタンスに立とうとしているのかを判断してほしい。若い方は往々にして、自分の世界だけに価値観を作ってしまっているきらいがあるようです。また若い人だけでなく、年配社員も培った常識にこだわる傾向があります。多様性をもっと認め合わないと仕事ではうまくいかない気がします。 ■本 1次説明会や2次のグループディスカッションを見ていて感じるのは、最近の学生はどうもスマート過ぎるような感じがします。昔の話をしても仕方ありませんが、以前は目立とうとして手を挙げたものの、いざ指されると何も答えられなかったというような笑い話がありました。それがいいとは言いませんが、もう少し型破りの人がいてもいいですね。 下薗 確かにそれは感じます。しっかり自分の意見を主張する学生と、押し黙って何も言わない学生がいます(笑)。しかし黙っているからとそれで判断するのは可哀想ですね。学生自身が就職活動の中で成長している面は大いにあるわけですから。就職活動の当初は学生気分が抜けきらなかった学生が、先ほど述べたリクルーターの指導により見違えるように逞しくなった例は数多くあります。私は学生が変わったとは思いませんが、以前のように入社後は生涯その会社で働くという意志はなく、会社に入るのはあくまでスキルアップの手段と考えている学生が増えているように感じます。 ―大学も即戦力を要請しようと実学重視の傾向が見られます。最後に各大学への要望をお聞かせください。 宮原 各大学で旅行業を説明する機会をいただいていますが、幅広い選択肢の中で旅行業、さらにその中からJTBを選んでいただければありがたいと思います。景気が良くなると途端に学生が九州からいなくなります。九州の大学とは良好な関係を続けたいと思っています。また大学には弊社についての情報提供を続けていきたいと思います。 ■本 最近、気になっているのが、せっかく入社したにもかかわらず、早期退職者が出ることです。IT会社とはソリューションの地場ディーラーがあったり、富士通さんのようなメーカーもあります。ひと口にIT分野に行きたいと言っても、具体的にどういう分野に行きたいかを大学側はよく説明して指導してほしいと思います。もちろんこちらも十分説明するつもりです。こうしたことでミスマッチが少なくできると思います。 下薗 当社は開発型のメーカーなので、開発設計者をもっと増やしたいのですが、なかなか苦戦している状況です。以前は教授推薦などがあり、採用していましたが、最近はそうしたものが少なくなっています。こちらも大学側とさらに接触を増やしていかなくてはいけないと考えています。 大学には学生のために企業の内容を十分把握し、仕事内容の説明や企業風土などをしっかり発信してほしいと思います。また学内セミナーの場をもう少し増やしてほしいですね。大きな合同説明会は結構あってますが、学生自身が2、3社しか回れなかったという声を耳にしました。大学内で開催される説明会は小規模ですが、逆に学生とじっくり話すことができ、学生もいろいろな質問をこちらに投げ掛けるなど、充実した説明会ができました。こうした場をもう少し増やしていただけると、地場企業としてうれしいですね。 ―今日はどうもありがとうございました。皆さまのご活躍をお祈りいたします。 | ||||||||
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