2007年4月号154ページに掲載

■新産住拓■ディー・アンド・エイチ■九州林産
■田舎暮し(辰巳グループ)■オーナーズ・ホーム■安成工務店
 「恒産なき者は恒心もなし」。先哲の言葉にもあるように、一定の財産があってはじめて、不動心は培われる。まして、デフレ経済から脱却。物価の下落に歯止めがかかり、ユーザー心理に曙光(しょこう)が兆す。消費・投資意欲ともにプラスに転じて、これから持ち家の資産価値が高まるいまこそ、新時代・次世代にまで受け継ぐ「恒産」には、注目してみたいところだ。

人口減少・少子高齢化と
好景気始動で3大潮流へ

暖かい日だまりのなかで将来のライフスタイルを育む
 「量から質へ」「市場の2極化」「本物志向」。九州の戸建て住宅業界には、3つの大きなトレンドがある。それらの背景に共通するのは、人口減少と少子・高齢化だ。  新築住宅市場には、自ずから「上限」が兆してくることが指摘されながら、パイ争奪戦にハウスメーカー各社は必死だ。目下、住宅市場の主要顧客は、団塊世代(1947〜49年生まれ)とそのジュニア(71〜74年生まれ)に集中し、当面、市場を2分してリードしていく傾向にある。
 とりわけ、いざなぎ景気(1965〜70年)を超え、戦後最大の景気回復が続くなかで「買い替え特例」が延長されるなど、持ち家促進施策がもたらす効果は大。高額取得の建て替え層ほど利点があり、現役からリタイヤ組までシニア層が動く可能性が見込める。
 新規住宅着工が、家電や自動車などの他産業に刺激を与え、内需拡大につながる期待値も高い。
 ただ、環境や状況がどう変わろうとも、ハウスメーカーとして、市場で選ばれ、次代に勝ち残る条件は1つ。常に「お客さま本位で、本当の一邸を提供すること」だ。

家から始まる「予防医学」
自前の断熱材工場まで

 「安全・安心で良質な住宅ストックの形成」(06年施行・住生活基本法)が叫ばれている。
 かつて「1世帯1住宅」を目標に掲げ、公営住宅を大量供給し、郊外型ニュータウンの建設を進めてきた時点から大幅にシフト。
 「安全・安心で良質な」暮らしを支えるのは、住まいの「健康・快適」な性能・品質。これらをクリアした上で、「地域の社会資本」となる家づくりが求められている。
 「健康住宅」の基準は、化学物質を使わないこと。合板・壁紙の接着剤に含まれるホルムアルデヒドが代表例で、シックハウス症候群の原因となるため、一定面積以上の使用が法律で制限されている。
 新産住拓(熊本市)の「健康住宅」基準には、『胎児の複合汚染』(中公新書)の著書もある森千里・千葉大学教授の主張が息づく。
 家づくりに「予防医学」への配慮を反映。「ヒトの中でもっとも弱い、物言わぬ胎児を化学物質使用に際しての基準対象にすることで、結局は成人にとっても健康へのリスクを減らすことができる」(前掲書から)事実を具現化した。
 「永住品質で、価格以上の価値」を追求するのが、ディー・アンド・エイチ(福岡市)。提供する木造住宅は耐震・制震・免震、すべての地震対策工法を駆使した成果だ。 断熱工法の家は「夏冬ともにエアコンなしで大丈夫」。高温多湿な九州の気候・風土にマッチしており、四季を通じて快適に生活できると同時に、省エネルギー効果が高いのは実証済みだが、その断熱材を独自に開発、専用の工場まで建ててしまったハウスメーカーが山口県下関市の安成工務店だ。
 「デコスドライ工法」は、新聞古紙を粉砕して繊維化した木製繊維(セルロース・ファイバー)断熱材を採用。断熱・防音性に富み自然素材ならではの調湿作用もある。 製造時のエネルギー負荷も小さく環境保護の姿勢が認められ、国内最大規模の環境展示会「第3回エコプロダクツ大賞」(経済産業省など後援)で特別賞を受賞した。 マクロホーム九州が提唱するのは「FPの家」。水発泡ウレタン注入パネルで、家全体をすき間なく覆う。軸組と2×4(ツーバイフォー)工法とを組み合わせて、建物を柱と梁(はり)で支え、天井・壁・床の6面体で箱型構造を構成。光熱費はかからず、堅牢(ろう)な品質で「0エネルギーの100年住宅」を目指している。

団塊に「ウイーク・タイ」
自給自足する新しき村

住まいについての家族の夢も、どこまでも広がっていく
 シニア市場に照準をあて、手ごたえを得るのが北九州市の辰巳グループ。ちょうど、同市と福岡市の中間に位置する岡垣町に「実年世代が憩える村」を分譲する。
 広大な庭地も確保でき、自家菜園から農場まで手掛ける向きも。
 関東や関西など九州以外からの引き合いが多く、退職後の建て替えニーズに対応している。出自も経歴もバラバラ。地縁血縁もなく、「第2の人生」を楽しむために、多くの夫婦が“入植”する。
 上下関係や会社勤め時代の付き合いとも無縁な「村中」で、コミュニティーを支えるのは「緩やかなきずな(ウイーク・タイ)」。適度な距離感を保ちながらも、言葉を交わして、相互信頼は絶やさない関係だ。元気なシニアが増えるなか、近未来のライフスタイルの一端を示しているのかも知れない。

相談できて、信義も堅い
“一生モノ”の企業価値

 家が人生最大の「買い物」であるのは言を待たない。だからこそ重要なのはハウスメーカー選び。 営業から設計、工務などメーカースタッフとの付き合いは“一生モノ”となる。近未来の家族数やライフスタイルの変化、さらに資産計画など、いわば「一家の将来を丸ごと預けた」上で信任がおけるメーカーを厳選すべきだ。
 あまつさえ、家は「青田買い」。1度工事にかかったら簡単に変更はできず、未完成のまま請負契約を取り交わす。カギを受け取り現実に住まないと、仕上がり具合・住まい勝手も分からない、特殊な商品だからだ。この点、地元に育ち地域で鍛えられたメーカーは、相談しやすく信義にあつい。
 各社一様に口をそろえる通り「地場業者は地元の実績・信用が企業価値」。現に、それらを起点に存在感を放つメーカーがある。

●ご意見・ご感想・情報提供はこちら
  (尚、無記名・連絡先のないメールは削除されます)