2007年3月号143ページに掲載

特集 人材ビジネス

さらに拡大、成長へ
時代を見捉えた人材ビジネス

■キャリアメイツ■キャリアバンク ■ジャストヒューマンネットワーク■九電ビジネスフロント■ドコモサービス九州
■アソウ・ヒューマニーセンター■シグマスタッフ 九州支社
■リクルートスタッフィング■NTT西日本-九州
■ヒューマンリソシア■フジスタッフ■JALビジネス 福岡支店
■メディカルブレーン■バックスグループ

「今や4兆円市場へ発展・進化する派遣業界」

 人材派遣業界の拡大、成長がとどまるところを知らない。景気が好転しつつある中、その勢いはいよいよ増すばかりである。そこには働き手、派遣先企業、派遣元のトライアングルの関係で築かれた優れたシステムがある。ここに時代を捉えた派遣業界の今をレポートするとともに、それぞれの取り組みで人的側面から九州に貢献する各社を紹介する。

追われる派遣人材の確保

 人材派遣各社では現在、働き手となる人材の確保に追われるほど、派遣への需要が一段と高まっている。そしてその背景には企業側からの求人に対する強いニーズがある。「景気が好転してきている中で、企業が事業拡大のための人員確保へと動いている」(渡邉清俊・日本人材派遣協会九州地域協議会会長)のが大きな要因で、「こうした傾向は今後もまだまだ続く」(同氏)と見ている。
 その中で企業の人員確保の形態としては正社員、契約社員といった直接雇用をする動きが強まっており、これが派遣における紹介予定派遣の近年の急伸につながっている。この紹介予定派遣は、将来の正社員採用を前提に、派遣先企業が一定期間派遣スタッフを受け入れて働いてもらった後に、双方が合意すれば直接雇用ができるというシステム。
 求人企業は人材派遣会社に希望の人材を依頼するだけでよく、募集・試験・面接などの採用業務の手間を省くことができる。また、一定の派遣期間を設けることで、面接だけでは把握しにくかった能力や適性が判断でき、求める人材をより確度を上げて得ることができるようになる。
 こういった大変有効な派遣システムであることから、「05年度の全国での紹介予定派遣は対前年度比69.4%増」(同氏)と大幅な伸びを示し、とりわけそのニーズが高まっている。

派遣255万人で過去最多

 この紹介予定派遣に限らず派遣事業全体でも大きく伸展、厚生労働省の05年度事業報告集計結果によると、派遣労働者数は対前年度比12.4%増の約255万人で過去最多。派遣先件数も対前年度比32.7%増の約66万件となっており、市場全体での年間の売り上げ規模は対前年で41%増の4兆351億円にまで上る。
 このような勢いのある市場であることから、また、派遣事業に参入する事業者自体も大幅に増加、その事業所数は前年より54.7%増えて3万1361。「福岡でも1000社ほどはある」(同氏)と全国同様に増加傾向にあり、そのサービス競争は一段と激しさを増している。
 九州の全体における市場規模は売上高ベースで5.2%、対前年度比33.7%増の約2120億円で、九州でも大きく伸ばしている。ところがこの中では福岡が市場の7割ほどを占めていて、南九州の方ではまだ浸透するに至っておらず、派遣においても福岡一極集中の傾向が見てとれる。
 職種で目を引くのが営業や販売の求人が増えていることで、福岡に新たに拠点を設けた企業などからのニーズが多い。業種では、「自動車や半導体、鉄鋼、造船といった好調な製造分野への派遣が盛んで、また、再編が進む中で人材強化を図る金融、経営合理化に取り組む医療の分野など」(同氏)で積極的な派遣人材の採用が目立つ。

働く選択肢の1つとして確立

 全国的に人材の供給不足を呈するほど活発な派遣業界だが、その人材を確保するため既にさまざまな働きかけをしている。そのターゲット層の1つが中高年齢者で、厚生労働省の調査によると、50歳代の71%が60歳以降も仕事を続けてすることを希望しており、今年から大量退職が始まる「団塊の世代」にも大いに期待を寄せる。
 また、働く意欲はあるが家事などで就業時間が制限される主婦、それに新卒(第二新卒)、フリーター、外国人などを有望視。就業経験が乏しい人のためには、研修によってビジネスマナーやパソコンなどの各種スキルを身に付けさせ、送り出している。
 これは派遣を通して働く人も、そのシステムを積極的に評価して選択。同じく厚生労働省のアンケートでは、「働きたい仕事内容を選べる」「働きたい曜日や時間あるいは期間を選べる」「自分の能力、資格を生かせる」「仕事の範囲や責任が明確」などの答えが上位に挙げられた。こうした自分の生活と調和が取れる仕事の仕方として、あるいは各人がその時々のより良い労働環境・待遇を求め、働く側が派遣を活用するという方向も出ており、働き方の選択肢の1つとして確立されている。

就労環境整備に引き続き注力

 「今後とも企業と労働者の多様なニーズの受け皿として、業界では今、派遣労働者が安心して働ける就労環境を引き続き整えていくことに力を入れている」(同氏)。そのためコンプライアンスを徹底し、受け入れ企業に対しても法令順守の働きかけを行う一方で、各種社会保険の全面適用をより一層推進。その社会保険を始めとする各種制度が、正規労働者を前提に整備されているものであることから、派遣(短期、断続、移動)に適した制度の改革を求めていく。
 さらに正社員希望のスタッフに対し、それに向けた必要な援助を行うとともに、キャリア形成を希望する者に対しては、能力開発の進め方について検討。また、派遣先に理解を求め、安全衛生やリーガルコストに関して、派遣元と派遣先の責任分担を整理する、などに積極的に取り組んでいく考え。
 「派遣の仕事に長年携わってきて、スタッフ、派遣先、派遣元のトライアングルの関係で築かれたこのシステムが、非常に優れたものであることを強く感じている。これからさらに整備し、磨きをかけていけば、ますます発展していくはず」(同氏)と派遣は将来に向けより進化していく。

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