2006年9月号83ページに掲載
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総合エネルギー企業 九州電力

「九州電力CSR報告書2006」を発行

CSRエクセレントカンパニーを目指して


九州電力CSR報告書
 九州電力はこのほど、「九州電力CSR報告書2006」(A4版、72ページ)を発行した。CSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)への関心が高まる中、これまでの実績と今後の活動方針などをすべてのステークホルダーに分かりやすく報告。さらに、意見や要望を募る双方向のコミュニケーションツールとしての役割も期待されている。

ステークホルダーの声
今後の業務へと生かす

 九電には、ライフラインを担う公益事業者として、低廉で良質な電気を利用者へ安定的に届けるという社会的責任がある。これは、エネルギー市場における競争が本格化する経営環境下においても変わることはない。他方、地域社会との協調がなくては、設備形成およびその運営が成しえないこともまた事実である。従来から九電グループでは、コンプライアンス経営や情報公開、環境経営、地域との共生など社会からの信頼をより強固なものとするため、様々な活動に取り組んでいる。
 昨年7月には、CSR担当役員に 藤光昭副社長を任命。松尾新吾社長を委員長とするCSR推進会議を設置するなど体制面の強化を図った。「九州電力CSR報告書2006」は、同社のこれまでの事業活動や取り組みをCSRの観点から評価し、広くステークホルダーの意見や要望を聴くコミュニケーションツールとしての役割を担うことも期待されている。
 また、同報告書は、CSR報告書作成の国際基準であるGRIガイドラインを参考に、「お客さま」を原点とした企業活動を、コーポレート・ガバナンスをベースに、中期経営方針(05〜09年度)の「企業の社会的責任(CSR)への取組み」で支えるという考え方で整理している点に特徴がある。
 GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)は、持続可能性報告書の世界的基準の策定と普及を目的として、97年に設立された国際組織。中期経営方針の「CSRへの取組み」は、「コンプライアンス経営の推進」「経営の透明性確保に向けた情報公開の一層の推進」「環境経営の推進」「人権の尊重と働きやすい労働環境の整備」「安全第一主義の徹底」「地域・社会との共生」の6項目からなる。
 今後は、同報告書を通じてステークホルダーの声を経営や業務運営に反映させるCSRマネジメントサイクルを構築し、「自らの企業価値を持続的に創造することにより、社会とともに発展する」という「九州電力グループ行動憲章」を実践していく方針。また、CSRへの取り組みをより一層推進するため、同報告書は全社員にも配付している。

信用大切にすること
こそがCSRの原点

 同報告書ではまず、『「信用」を大切にすることが九州電力のCSRです。』を見出しに掲げて、松尾社長のメッセージを紹介。CSRに対する考え方をはじめ、ステークホルダーとの双方向の対話を推進していくという同社長の取り組む姿勢を載せている。
 また、CSRへの取り組みに対するステークホルダーの声として、4人のコメントを原文のまま紹介。これもまた、ステークホルダーとの双方向の対話推進を具体化した一つの試みである。その4人は、アサヒビール博多工場の秀島教文工場長(お客さま)、長崎大教育学部の藤本登助教授(環境専門家)NPO法人ワークショップ「いふ」の星野邦子理事長(NPO)、立命館アジア太平洋大のモンテ・カセム学長(教育専門家)。

 各コメント下にはハイライトとして、報告書の掲載内容についてダイジェスト形式で紹介。掲載ページを記載することで、「お客さまが興味を持っていいただいた内容へとスムーズに移行できるよう」(CSRグループ)工夫されている。
 特集1では、06年4月から実施した「電気料金の値下げ」を紹介。表を用いて、新旧料金を比較しているほか、新たな料金メニューとして導入した「高負荷率型電灯」について説明を加えている。さらに次ページでは、図とグラフを使い経営目標と経営効率化計画を具体的に説明している。
 さらに、「お客さまを原点とした事業展開」を6浮ノわたって紹介。九電グループの総合力を生かした解決策を提案する「トータルソリューション営業の推進」、安全性や快適性、経済性を充足する生活提案「オール電化住宅の普及促進」のほか、「お客さま満足度向上に向けた取組み」「電力の長期安定供給の取組み」「供給信頼度の維持」「技術開発」「エネルギーをコア事業とした事業領域の拡大」について説明している。
 経営マネジメントでは、「コーポレート・ガバナンス」「リスクマネジメント」「TQM」「CSR推進体制の強化」など、会社経営の健全性を確保するための内部体制の整備について触れている。
 これと関連して「CSRへの取組み」では、06年度のCSRへの取り組みに関する主な行動計画も掲載。これは、これまでの取組みの成果や実績だけでなく、計画に対しても社会の意見を募ることを目的としている。

6項目の取り組み内容
具体的かつ詳細に説明

 これらを踏まえて同報告書は、中期経営方針の「CSRへの取組み」に関する6項目について検討に入る。まず、「コンプライアンス経営」では、「コンプライアンス向上への取組み」と「情報セキュリティ体制と個人情報保護の取組み」で構成。前者では02年10月に設置した「コンプライアンス委員会」を中心としたコンプライアンス経営の推進体制についての説明やコンプライアンス行動指針、グループ会社の取り組みなどについて紹介している。後者では、05年1月に設置した情報セキュリティ体制について紹介するとともに、全社をあげた情報セキュリティ確保の取り組みについて説明している。
 次に「情報公開とコミュニケーション活動」では、これまでの積極的な情報公開への取り組みのほか、社内体制、災害発生時などの情報公開、原子力関係情報の適宜・適切な発信、ステークホルダーとのコミュニケーションといった各取り組みについて紹介している。
客観性を確保し信頼性を高めるための「第三者意見書」を受けて 藤光昭CSR担当役員のコメントを掲載

 「環境活動」では、「環境保全、特に地球温暖化をはじめとする環境問題に真摯(しんし)に取り組む責務があると強く認識している」(CSRグループ)九電グループの積極的な取り組みを10ページにわたり紹介。環境活動の詳細について紹介する「九州電力環境アクションレポート」の掲載ページも記載して、両報告書が効果的にリンクするよう配慮している。
 「人権の尊重と労働環境の整備」では、基本的人権の尊重や関係法令の順守はもちろんのこと、企業価値向上の源泉は「人材」であることを基本に、一人ひとりがやりがいや働きがいをもって仕事ができる、働きやすい労働環境の整備に取り組んでいることを紹介。男女共同参画の推進や高齢者・障害者の雇用促進、従業員の意欲や能力向上などについて同社の取り組みを説明している。
 「安全第一主義の取組み」では、原子力発電の安全確保、労働安全衛生の取り組み、公衆災害防止について、社会安全確保のための設備対策や技術改善はもとより、公衆安全や作業従事者の安全確保を最優先する同グループの基本方針を示している。
 「地域・社会との共生活動」では、文化・芸術への取り組み、伝統工芸支援、地域活性化への取り組み、スポーツ振興への取り組みなど、様々な分野での共生活動を紹介。従業員のボランティア活動支援や更なる活動の充実についても触れている。
 特集2では、「プルサーマルへの取組み」について紹介。玄海原子力発電所3号機で2010年度までをメドに実施する計画のプルサーマルについて、これまでの取り組みのほか、必要性や安全性について説明している。
 さらに、「報告書の客観性を確保し信頼性を高めるため」(CSRグループ)、九州大大学院法学研究院の阿部道明教授に評価を依頼。阿部教授は、「CSRは特別のものでなくて企業の本来の時魚活動の中で実践するものという考え方で書かれている」点を高く評価。CSRの重要な要素であるコンプライアンスについても、「十分な記載がされている」とし、いわゆるネガティブ情報の開示方法についても高い評価を与えている。また、CSRの実践とステークホルダーとのコミュニケーション、企業グループとしてのCSRの展開について示唆した上で、「分かりやすく充実したCSR報告書を作成できるよう工夫と努力を継続していただきたい」と意見を述べている。
 これを受けて、CSR担当役員である 藤光昭副社長が、「いただいたご意見を受け、当社のCSRへの取組みを更に充実させるとともに、その内容については、次回の報告書に記載し、改めて皆さまのご意見を賜りたい」と述べている。
 同報告書は、より重要な事項のみを掲載したダイジェスト版も発行。巻末にはアンケート用紙を入れ、「今後の報告書作成やCSRへの取り組みの推進に活用する」(CSR推進グループ)ことにしている。

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