2005年11月号124ページに掲載
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お菓子

 目まぐるしく移ろう現代社会に付いて行くのは大変。常に変革を余儀なくされ、慌ただしい日々が過ぎていく。そんな渦中からしばし抜け出し、心休まるひとときを与えてくれるのがお菓子。そしてうれしいことに九州は、大手メーカーも含めこのお菓子の宝庫。その楽しみの数々をここに満載した。


〈五十ニ萬石 如水庵〉

「幸の風ふくおか」新発売 福岡のお土産の新定番に
 「お菓子は五感の芸術。詩心あふれる最高峰のお菓子づくりをめざす」―五十二萬石 如水庵(福岡市、森恍次郎社長)が掲げる経営理念の中の言葉通り、常に最高のお菓子を求めて取り組んでいる。その同社が絶対の自信を持って11月から発売を開始するのが「幸の風ふくおか」である。
 8年もの歳月をかけて開発、94年にブッセ「森のヴィーナス」として発売し、好評を得てきたのを、さらにおいしさに磨きをかけ、ネーミングも装いも一新して、今回新発売する。
 その最大の特長は、生地のスポンジをきめ細かく膨らませるのに一般的に使われている食用乳化油脂(起泡剤)を一切使用せず、研究を重ねた末に素材だけでふんわり感を出すことに成功したもので、粉と卵の味が生きた、ふわっとほどけていくような口どけの良いブッセが誕生した。

 もちろんスポンジで挟んでいるジャムやバターにも徹底してこだわり、福岡県産温州みかんのジャム、数種類のぶどうをブレンドしたジャム、刻みチーズと上質のバターを程よく混ぜ合わせたチーズバターの3種類のブッセに仕上がった。「私のこれまでのすべてを注ぎ込んで結実した自信作。一度口に入れてもらえれば、それがお分かりいただけるはず」(森恍次郎社長)と福岡と付いた商品のネーミングとも相まって、贈って喜ばれる福岡発のお土産の新定番となりそうな予感である。

〈セイカ食品〉

「南国白くま」が好調 鹿児島名物に定着
 鹿児島ではすっかり夏の風物詩となっている氷白熊は、練乳をかけたかき氷にフルーツをトッビングしたもの。セイカ食品(鹿児島市、玉川哲生社長)では1960年代後半からこれらを参考に工場生産のカップものに仕上げた結果、これが大ヒット。その後、改良を重ね、現在では鹿児島随一のブランドに成長している。
 同社の「南国白くま」は一般的アイスクリーム類に使用される乳化剤や安定剤といった添加物を使わず、スティックタッチのよい練乳かき氷に仕上げているのが特徴。またトッピングも練乳の風味、甘さに調和するものを使用しているため、そのおいしさが口コミで広がり、全国にファンを拡大しているうえ、新幹線の開業効果も重なり、定番の氷菓子となっている。
 ほかにもに「ボンタンアメ」「兵六餅」「さつまいもキャラメル」、新製品の「むらさきいもソフトキャラメル」などオリジナリティ溢れるお菓子は、親子何代にもわたり親しんでいるファンも多く、鹿児島を代表する銘菓である。同社では、もち米、水飴、砂糖、麦芽糖などいずれの原料も安全で品質の良いものを厳選して使用する方針を貫いている。

〈石村萬盛堂〉

12月に創業100年 継がれる独創的菓子作り
 今年12月に創業100年を迎える石村萬盛堂(福岡市、石村善悟社長)。明治38年の創業後間もなく初代・善太郎氏によって洋菓子のマシュマロに和菓子の餡を入れた鶴乃子が、非常に斬新なお菓子として評判を呼び、今なお博多銘菓として愛され続けている。
 この独創的な菓子作りの精神は今日まで受け継がれ、次々とヒット商品が世を賑わせているが、先の7月20日からは凍らせた生クリームをマシュマロでくるんだ日本初の凍らせてもやわらかいマシュマロ「SNOWFIL(スノーフィル)」を新発売、キャラクターの「マフィ」との相乗効果で早くもヒット商品となっている。

 「いつも変わらない『おいしい』のために、いつも変わり続ける努力を惜しまない」と既存商品についても常により良いものを目指している。人気の塩豆大福もその1つ。これまでは1つ食べるとほぼ満たされ、2つ目には手が出にくかったが、もっと食べやすくするため、1個の分量を少し減らし、その分価格も10円下げて95円(税込)で販売を始めた。一方で創業100年の記念菓として発売した、福岡・八女の抹茶をふんだんに使った餡と松の木肌を生地に表現した和菓子の「釜掛けの松」が大変好評である。
 また同社では創業100年の記念事業の一環として、江戸時代に博多の人々に親しまれた禅僧・仙 の書画展を8月30日から10月23日まで福岡市美術館で開催。先代・善右氏が寄贈した、石村コレクション100点近くの書画を特別公開したもので、お菓子メーカーの美術展として話題を呼んでいる。

〈ニ鶴堂〉

鯛焼き店は「ギネス」が目標 新たな銘菓も、次なる定番へ
 「日本一」の鯛焼き店で活気づくのが二鶴堂(福岡市、橋本由紀子社長)だ。すでに城原店(佐賀県神崎町)はオープン以来13年目で「九州一」の地歩を固めた。客筋も広範に渡り、交通の要衝に位置することから大型トラックのドライバーが1度に50個ものまとめ買いをすることも。砂糖に含まれるブドウ糖が、運転の疲れをいやすと共に心身をリフレッシュしているのは間違いない。

 大阪はじめ近畿圏、さらにアメリカまで出店する構想もあり、「いずれは、ギネスブック入りに挑戦」との意気込み。同社の売上高の4割を占め、34年目の展開に入った「博多の女(ひと)」に次ぐ定番に育った、「博多ぽてと」(97年より発売)は、ペースト状に焼き上げた宮崎県産紅あずま芋を、生クリームやバターと丹念に練り合わせて仕上げる。さっくり、ほっこりとした舌触りと味わいが、駅、空港などの売店で、数多くの来福者たちを捉え、日々リピーターも拡大している。

〈千鳥饅頭総本舗〉

自然と体にやさしい真心こもった本物の味追求
 お菓子作りにおいて千鳥饅頭総本舗(福岡市、原田光博社長)が掲げているのが『医食同源』『美味求真』。そのため「原料には厳しく目配りをし、その生産者の方々とは親密なコミュニケーションをとって、時には生産地に足を運んで納得のいくまで原料を選び続ける」(原田光博社長)徹底ぶりで、北海道の十勝平野で作られているてぼ豆や筑紫平野での麦、あるいは豊かな自然の中で育った地鶏の卵など、原料はすべて純国産。また、パン作りなどでも乳化剤といった添加物は一切使っておらず、自然と体にやさしい真心のこもった本物の味を追求している。
 その同社が例年10月1日から翌1月までの期間限定で製造・販売しているのが、ドイツを代表する伝統的なお菓子「ドレスナーストーレン」。同社独自の製法も取り入れて、乾燥させたフルーツや木の実をふんだんに使い、できたものはそのまま1カ月以上寝かせて熟成させており、天然バターを使用したフルーツとアーモンドペーストがたっぷりの手作りお菓子。今年は“日本におけるドイツ年”でもあり、より一段とファンを獲得しそうである。

〈馬場製菓〉

「農菓発想」で地域おこしに貢献
 鹿児島県上屋久町に本社を置く馬場製菓の理念は、鹿児島ならではの原料を使い、体によく、おいしいお菓子を提供する。しかもサツマイモの生産農家との共存共栄を図りながら、世界に通用する菓子づくりを目指すというものだ。
 この理念の原点になったのは1987年、ドイツで行われた国際見本市。自社のお菓子が世界にどの程度通用するのか不安を抱え出品したが、結果はブースが人垣で埋まるほどの盛況ぶりだったという。これを見た馬場甚史朗社長は確かな手応えを感じると同時にお菓子にヘルシーなものが求められていると確信。以来、鹿児島の特産品であるサツマイモにこだわった菓子づくりを行っている。
 同社の代表作「薩摩きんつば」は種子島産「一吉紫イモ」を原料とし、職人が目の前で一つずつ鉄板の上で焼き目をつけていく製法をとっている。現在、鹿児島中央駅や鹿児島空港ビル、島津興業の仙厳園で大人気商品となっているほか、お菓子の本場、京都のJR京都伊勢丹の売り場でも連日にぎわいを見せている。

 最近、紫イモのブームとともに、他県産の紫イモも出始めているが、同社は今後も鹿児島の風土やサツマイモが最初に伝わったという歴史などを踏まえ、本物だからこそ作ることができるおいしさをさらに追求し、他県産の紫イモとの差別化を図っていく考えだ。また産地の育成やブランド化を図るため、同県西之表市に誕生するサツマイモ特区を積極的に利用し、世界に通じるさつまの味づくりを目指すという。「食の本場であるフランス、サツマイモの本場である中国で自分が作った薩摩きんつばを売り出したい」と馬場社長の夢は尽きない。

〈ひよ子〉

全国で愛される「ひよ子」天草の塩「塩豆太郎」
 九州はもちろん今や全国で愛されている名菓「ひよ子」。それを裏付けるように、駅、空港、高速道路といったお土産を主とした店舗での売れ行きが特に好調で伸ばしている。こうした中で博多港のフェリーターミナルでは韓国人観光客にも非常によく売れており、ひよ子(福岡市、石坂博史社長)ではこの大きな核商品である名菓「ひよ子」を中心として、今後も事業展開を図っていく方針。
 今年7月には塩豆大福の「塩豆太郎」を新発売した。塩豆には厳選された赤えんどう豆を使い、北海道産の小豆本来の風味がつまった餡とやわらかく、なめらかな生地の食感が特長で、それに天然ミネラルを豊富に含んだ「天草の塩」を使用することで、よりうまみが増し、発売以来人気商品となっている。「既存商品についても素材をはじめ常により良いものを追求しており、また、今後の新商品は1つには季節感を出すなどして、お客さまにいつも喜んでいただける商品・店舗づくりをしていきたい」(江崎栄俊・経営企画室課長代理)考えである。
 その季節感あふれる新商品の手始めに「林檎パイ」を先の9月から発売。長野県産のりんごが持つさわやかな甘味とジューシーな風味を、香ばしいパイで包み込んだもので、りんご入りのパイというより、りんごがおいしいパイとして早くも評判を呼んでいるが、さらに10月末には「かぼすブッセ」を発売予定である。

〈村岡屋〉

佐賀を「五感で感じる観光」と絹織物に見立てた味わい
  村岡屋(佐賀市)は「お菓子を通して、佐賀の歴史、文化を発信する」(村岡央麻社長)頂点に立つ。佐賀は鍋島藩36万石の城下町で、400年の歴史を誇る。佐賀城本丸歴史館のオープン(2004年8月)に続いて、大隈重信記念館や徴古館などのモニュメントにもスポットが当たっており、観光客の動きを「点から線、線から面へと拡大していく」方向性にある。
 その場合、村岡社長は「古民家や路地裏にまで足を伸ばして、そのたたずまいや雰囲気まで楽しんでほしい」と付け加える。街並みごとの風情や人々の暮らしの息づかい、活気を「五感で感じる観光」の提唱だ。

 小豆と栗を使った和菓子にバームクーヘンをあしらった「さが錦」は名実共に、佐賀を代表する郷土銘菓。城内に伝わる、縦紙に絹糸を多彩に織り込んだ織物「佐賀錦」をモチーフにした。ふわっとした食感と口溶けのよさも身上。そぞろ歩きのお供に、心豊かなひとときがうれしくなる。

〈福砂屋〉

全工程をひとりの職人で「手わざ」が古来からの伝統
 寛永元年(1624)の創業以来、手作りの製法を守り続けている福砂屋(長崎市、殿村育生社長)のカステラづくり。そのカステラへのこだわりは、すべての工程をひとりの職人が成し遂げること。卵の手割りに始まり、泡立て、混合、撹拌(かくはん)、釜入れまで、ひとりが一貫して責任を持ち、この手作りを極めた「手わざ」が福砂屋の古来からの伝統である。
 その中で、カステラ独特の、ふっくら、しっとりとした食感をもたらすのが、卵の入念な泡立て、撹拌。ミキサーですべての材料を一緒に撹拌する一般の共立法というやり方と違って、福砂屋が古くから確立し、今も守り続けている別立法では、卵を手割りで黄身と白身に分け、職人の手によってまず、白身を十分に撹拌し、その後に黄身とザラメ糖を加えてさらに撹拌するという手間をかけた方法で、この手だての泡が、ふっくら、しっとりとしたカステラを生み出している。
 古くからの長崎カステラの特長のひとつに、カステラの底のほうにかすかに感じる、シャリッとした口当たりがあり、これは生地の底に残る角の取れたザラメ糖の感触。材料を撹拌するときに、ザラメ糖の角をすり減らしながら、生地になじませるという技術によるもので、その一部を沈殿させて残す手作りならではの方法。「ふっくら、しっとり、最後にシャリッ」という独特の感触、コクのある甘みと懐かしい風味、長崎カステラの伝統の味わいを、福砂屋は手作りで伝え続けている。

〈さかえ屋〉

チルド市場の底上げに寄与大 デザートは副食ではなく主食へ
 業務用のデザートを主軸として全国市場に攻勢をかけるのが、さかえ屋グループ(福岡県穂波町)のグレア。シティーホテルやレストランなどでは「ディナーの後に出てくるお菓子のクオリティーが、料理全体の印象や評価を左右する」(中野利美社長)ためで、各施設に専任スタッフを派遣して、メニュー開発部門と共に付加価値の高いデザートを考案している。さらにカフェや居酒屋などにもアイスクリリームやケーキ、フルーツ菓子などで、企画提案の領域は広がりを見せている。
 もう一方の軸足として、過去5年間にわたって取り組んできたコンビニエンスストアなどでのチルドデザートのコーナーも充実してきた。他のお菓子メーカーに先駆けて展開してきたこともあり「デザートは、もはや副食ではなく、主食をしのぐメーンメニュー」との気概がある。お菓子市場全体の底上げにもつながる勢いがあり、期待値も高まっているところだ。

〈もち吉〉

国内産うるち米、餅米と福智山地下天然水を使用
 「餅のおまつり」「餅のささやき」「満天黒豆」「ぬれ味千」「希林あげ」「ふくよか餅」などを製造販売するもち吉(福岡県直方市、森田長吉社長)。
 同社がある直方市には林野庁が認定する「水源の森百選」にも選ばれた福智山山系の地下からこんこんと湧き出す清らかな水があり、同社の製品はこの水と厳選された国産米を使い作られている。
新商品「餅のささやき」は餅の原料となる国産の「餅米」とミネラルたっぷりの天然水を使用。これに北海道産の羅臼昆布やカツオ、椎茸などを加えたタレをからませおいしく仕上げた逸品である。
 同社製品ははこれまで個人向け通信販売や生命保険会社の販促用に使われる場合が多かったが、最近では直販店にも力を入れ、現在、店舗数は全国に156店舗、売り上げは前年をクリアして順調に推移しているという。今年8月には東京築地に新店舗をオープン。歌舞伎座の近くにあることから観劇やショッピングの帰りに気軽に立ちよる人が多いという。
 また昨年10月から歌手の吉幾三さんをイメージキャラクターとして採用。その素朴さがもち吉のイメージにぴったりと評判も上々だ。森田社長は「おいしい米とおいしい水を使って仕上げることにより本物のせんべいが出来上がった。甘みを抑えており、もたれなくて素朴な味はきっとご満足いただけるはず」と話している。

〈菊屋〉

世界モンドセレクションでグランドゴールドを3年連続受賞
 創業50周年を迎えた菊屋(大分県大分郡、平山二三社長)は大分と熊本に約50店舗を展開する大分を代表する菓子メーカーである。代表銘菓の「ドン・フランシスコ」は外側のパイ生地にスペイン産アーモンドを混ぜたクレームダマンド(アーモンドクリーム)を使用し、サクサクした歯ごたえと香り豊かな生地が絶妙にマッチしている。中身は2種類で、甘酸っぱい自家製ブルーベリージャムにメロンを加えたものと、アーモンドクリームに角切りにしたほどよい酸味を持つリンゴが入ったものがある。このドン・フランシスコは世界モンドセレクションでグランドゴールド賞を03年から3年連続受賞するなど、まさに世界が認めた大分銘菓といえよう。
 ほかにも第43回モンドセレクションでゴールド賞を受賞した「由布院 豆乳プリン」も同社の自信作。まず豆乳を作ることから始めたというこのプリンは、地元大分県内産の丸大豆を由布岳の天然水で仕込んだ豆乳を使い、これに厳選した卵と牛乳を混ぜたもの。洋酒の香りも効いており、和と洋が見事に融合したお菓子といえよう。斎藤智会長は「近いうちに個『由布院 花麹菊屋』から“由布物語”を新発売する。この商品はパイ生地にイチゴチョコを入れたさわやかな酸味が特徴のお菓子で、開発に2年を要した自信作。百貨店での販売を通し、大分はもちろん、九州全域の方々に食べていただきたい。今後もオリジナリティ溢れるお菓子を作っていく」と菓子づくりにかける意気込みを語っている。

〈黒田家〉

地元が名付け親「草木饅頭」皮と白あんが絶妙の調和
 明治中期、初代黒田辰治は毎日好きな饅頭作りに余念がなく、本業の鉄道員を利用し、あちらこちらの饅頭を研究しながら創意工夫していた。そして後に、独創的な製法により出来たのが総本家黒田家(福岡県大牟田市草木、黒田剛社長)の「草木饅頭」である。
 この「草木饅頭」は、当初は「平和饅頭」と名付けられていたが、そのころの大牟田には菓子屋が数件しかないこともあって、その地名から「草木の饅頭」と自然と呼ばれて親しまれるようになり、いわば地元の人たちが名付け親。
 今では地元のみならず各地に多くのファンを獲得しているが、その人気の秘密は、薄い皮と厳選されたぎっしりの白あんが口の中でほんのり溶け合い、互いの味を一段と引き出すからで、絶妙の調和がうけている。
 「90年以上も皆さまに喜んでいただいてきた味なので、この味は守っていきたい。昨今、菓子業界は多品種少量化の動きの中にあるが、私どもとしては商品構成は増やさず、特長・専門性を前面に打ち出し、地域性にもこだわって」(黒田剛社長)いく方針で、最近、「酒まん」、「茶の香饅頭」等を発売し、蒸し菓子のおいしさをPRしていきたい考えである。

〈巌流本舗〉

下関の観光ブームを超えてかたくなに、変えない姿勢
 山口県下関市の巌流本舗は「あえて、頑固といわれても郷土銘菓メーカーには、時代や環境を超えて、変えてはならないポリシーがある」(水津勉社長)と強調する。
 NHKの大河ドラマでは、源氏と平家の最終合戦場となった壇の浦(同市)が脚光を浴び、また、同市出身の佐々部清監督の映画「カーテンコール」では1960年代同市エリアが舞台となるなどして、地元には観光ムードが高まっており、お菓子にもその“追い風”が及ぶが「ブームはしょせん、付録でしかない」とばっさり。
 メディアの注目や観光客の増加とは関係なく、「ひたすら地場の自然の恵みに根差した味を追究する」ことに余念がない毎日だ。
 メーンブランド「巌流焼」は、小麦粉を鶏卵、砂糖などで練って焼き上げたどら焼きだが、その配合、焼き加減、さらに全体を90グラムに収めたところからくる表皮とあんのバランスも一貫不変。「一度、口にしてもらった、その一瞬のおいしさに忠実で、決して裏切らない」意志は鮮明だ。

〈江崎グリコ〉

神経伝達物質が約束するおいしさと、心身の健康
 江崎グリコの提案は、ストレス社会に生きるビジネスマン、OLにとって“朗報”。チョコレート「GABA(ギャバ)」の身上は「口にするたび、ホッといやされる優しい味わい」(永尾正之九州統括支店長)にある。正式名称は「γ(ガンマ)‐アミノ酪酸」で、人間の脳内にある神経伝達物質。発芽玄米などにも含まれ、もともと動植物の体内に広く存在する。
 実際、40歳代以上の現役世代は仕事上の成果や責任を問われて、毎日がプレッシャーの連続。逆にいえば、実務上でのメンタルコントロールが、その取り組み方と実績にも影響を及ぼしそう。
 ここに、「GABA」は、一般的なチョコに比べ、約25倍(100グラム当たり280ミリグラム)のGABAを含む強い味方。机の上に置きやすい缶入りと、持ち歩きにも便利なスタンディングパウチの2つの容器に、カカオの香りが芳醇な「ビター」と、ミルキー感あふれる「ミルク」の2タイプがそろった。オフィス内や車での移動などTPOに応じて「おいしさと心身の健康」を維持したい。

〈ロッテ商事〉

ガムを噛(か)むことで、九州・沖縄人の虫歯は減少する
 キシリトールガムで市場に圧倒的な存在感を放つロッテ商事は、「健康な歯を保つための、医学的なアプローチ」(中村孝九州北支店長)にも意欲的。11月8日の「いい歯の日」に続いて13日は「第4回いきいき健康ふくおか21フェスタ」(主催は福岡県、福岡県歯科医師会など、場所はアクロス福岡2階)に参画、「口腔(こうくう)内チェックコーナー」に咀嚼(そしゃく)力判定ガムを展示して幅広く来場者の「噛(か)むことからの健康づくりをサポート」する。
 キシリトールは白樺や樫などの樹液から取れる天然素材甘味料で、むし歯の原因となる酸の発生を抑える(むし歯を予防する)効能をWHO(世界保健機関)が認証。アメリカ、カナダはじめ38カ国以上で医薬用に使われている。 1997年、キシリトールガムが発売されて以来、子ども(対象は12歳)のむし歯が減少した(文部科学省「平成16年度学校保健統計調査」)データも発表されており、市場には弾みがついている。

〈明治製菓〉

100%純粋なチョコレートで「共感のコミュニケーション」
 明治製菓が着目するのが「お菓子のもつ、共感のコミュニケーション機能」(大藤慧九州統括支店長)だ。ビジネスのオン、オフ共に、私たちの生活空間にIT(情報通信技術)が高密度に浸透。 時空間を超えて、デジタル情報の受発信がはん乱しているため、かえって「人と人とは、直接に、人間的につながりたい、という気運が高まっている」と分析する。相手の声や表情を確かめながら一緒に過ごすひとときが求められており、ここで会話の潤滑剤になるのが、お菓子。中でもチョコレート。「手作りチョコレートは、このところ注目を浴び続けている」ため、成長の期待値が上がる。
 同社では関東、東海、大阪の3工場で、複数のチョコを1ラインで生産するシステムを導入。生産性を効率化、製造力を5割アップする方向で、この冬から、さらに市場の存在感が増す勢いがある。

〈不二家〉

オフィス内に、お茶の間に上品なクッキーの香りを
 不二家は1910(明治43)年、藤井林右衛門が横浜・元町に開いた「不二家洋菓子店」が原点で、
九州では64店舗を運営(9月末現在)。今、店頭では「こだわりのモンブランキャンペーン」で南九州産紫いも使用のモンブランなどを、「七五三フェア」ではペコちゃんやアンパンマンを使った千歳飴(あめ)を展開しているところだ。
 特にこの秋、同社菓子事業本部は「古き良き時代のアメリカからの香りと味わい」をオフィスや家庭内に運んでいる。「カントリーマアム」は、バニラ風味豊かなチョコチップを柔らかなクッキーで包み込み、手間ひまかけて上品に焼き上げた。サクッとした歯触りとしっとりなじむ食感が持ち味。電子レンジやオーブントースターで加熱すれば、いっそうフレーバーが広がる。先行発売した2タイプに加え、この11月8日には「チョコレートマカダミア」がお目見え。チョコと最高に相性のいいナッツの王様、マカダミアのまたとないハーモニーを楽しみたい。

〈カルビー〉

卸、小売り、菓子メーカーの三位一体で「感動の売り場」を
 スナック菓子メーカー最大手のカルビーは菓子卸、小売りの現場と「三位一体となった『感動の売り場』づくり」(川畑清徳九州カンパニー支店長)に注力している。
 菓子卸とは、取引条件を改編しながら商品提案力や販売支援策を強化。スーパーマーケットやコンビニアンスストア店頭では、流通チャネルの特性に応じた展開を進めている。メーンブランドの「ポテトチップス」でも、30歳代はスーパー、若い世代はコンビニを中心に買っているため、「それぞれの店先で、より目に入り、より手に取りやすいデザイン」を案出、新たな手ごたえを得ている。 さらに尽力するのが「食育」。知育、徳育、体育と合わせて、「食べることからの人づくり」にもほん走する。地域の小学校などを訪れ、ポテトチップスの栄養や、バランスの取れた食べ方などを提唱。スナック菓子全体への啓発にも一役買っており、九州全域の市場に、着実な刺激を与えているところでもある。

〈カンロ〉

一口含めば、少年時代へ大人だけの「お口の童話」
 いまや、あめ、キャンディーメーカーの代名詞的存在であるのが、カンロ。その企業姿勢は「いつでも、お客様に夢と健康を提供する、という使命に忠実であり、変化には迅速に対応する」(奥村守福岡支店長)点に集約できる。
 発祥は191 2(大正元)年、瀬戸内海国立公園で生まれた宮本製菓。その10年後には山口県光市に工場を新設し、55年にはしょうゆ味をベースとした「カンロ飴(あめ)」の製造が本格的化した。
 カンロ(甘露)は中国の伝説で、天下太平のときに空から降り注ぎ、人々ののどの乾きをうるおす神々の飲み物。こはく色に輝く1粒は、舌先に優しく転がり、まろやかなコクが漂う。40〜60歳代に根強いファンがあり、口に含むごとに少年時代に戻る思いも広がる、「お口の童話」といえそうだ。
 一方で、市場のヘルシー志向を読み取り、85年から「のど飴(あめ)」を導入。店頭に1大カテゴリー群を築く。砂糖分などを含まず、むし歯予防効果の高いキシリトールも豊富なのど飴で、気分転換と健康な毎日とを約束している。

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