物流特集物流の「全体最適」が経営戦略をサポート■ニシヒロ ■いすゞ自動車九州 ■トヨタL&F福岡既存物流から脱皮し環境対応へステップアップ物流は部門間、企業間のネットワーク化が進み「全体最適」に限りなく近づいている。一方で、さまざまな法規制によって、環境対応が物流機能の中に組み込まれ、それを見据えた物流の最適化が欠かせなくなってきた。経済活動の拡大に伴い、物流のグローバル化も進んでいる。今、どのような物流が求められるのかを本特集で追ってみた。高度成長期の大量輸送を下支えしてきた物流戦後の混乱期を経て実際の物流が企業経営の中に入ってきたのは、高度成長が始まった1955年前後からで、輸送、保管、在庫管理、包装などは、当時の企業にとって最も重点を置いた生産と販売に付帯する「作業」として行われていた程度にすぎない。65年を前後して高度成長に拍車がかかり大量輸送時代を迎えると、運送便や保管する施設が不足しはじめ、生産や販売に関連する輸送量が増加し広域化するにつれて、企業は確固たる物流体制の構築が不可欠になった。そこで運送会社を中心に拠点間の連携が図られ全国運輸網が形成されるなど、物流の役割や機能が高まり、生産、販売に次ぐ利潤追求の対象として認識されはじめた。
このころから、物流活動は省力化、効率化へと方向転換し、活発に動きはじめる。物流基地や工場ではフォークリフト(グラフ参照)やコンベアなどが多用され、人手をかけずに効率的な作業を可能にしていく。機械化は大量輸送時代を下支えする大きな役割を果たした。 73年の第1次オイルショックを契機に国内経済が低成長期に入ると、量から質の強化へと再びベクトルを転換、企業は生産性の向上を図るとともに情報システムによる物流管理が普及。部門ごと個別だった物流管理をネットワーク化するようになる。商品をいかに迅速に処理し、決まった時間に出荷していくかが、物流戦略上のキーポイントになった。 ニーズ多様化、原価高騰で物流最適化が一層不可欠に市場が成熟してニーズが多様化すると、それに応じた少量多品種輸送が行われるようになる。店舗別に仕分けして配送する流通(物流)センター、今日ではデポ、またはトランスファーセンターなどと呼ばれる流通型倉庫が増えていった。いわば商品通過型の中継基地である。センターでは縦の空間を活用する立体自動倉庫が登場、「自動ラック」による高速自動仕分けや自動搬送機などによる自動化が作業効率を高め、さらなる省力化を進めていく。バブル崩壊後は、価格破壊が起こり売れない時代へと突入。商品、サービスは市場のパイ縮小による競合激化で淘汰され、企業は経営効率化が迫られる一方で、付加価値商品・サービスの開発やグローバル化が優勝劣敗のカギを握るようになってきた。常に変化するニーズに「最適」に反応するシステムを構築しないと企業は生きのびることができなくなったのである。 さらに、IT革命により情報ネットワークが企業の部門間、地域間といった領域を超え、近年では取引先や得意先といった複数企業との間を結び、統合的、戦略的なサプライチェーン(供給連鎖)へと発展していった。必要な時に必要なだけモノを供給する「ジャストインタイム」の生産方式や、ERP(財務、生産、物流などの部門間を横断して情報を統合管理し、経営効率化を図る手法)などと一体となって効果的に反映させる手法が導入されていった。 その代表格が、年々普及、拡大するロジスティクス。現代の物流は原料や部品などの調達から生産、販売、そして容器や廃棄物、返品などの回収にいたる物流全体の最適化を志向している。それ以前に経験した「コストを削減する物流」「省力化の物流」だけでは、実際の需要をこの物流全体に反映させることで収益を押し上げ、排気ガス、廃棄物といった環境問題などにも対処するということができなくなってきたのだ。 最近は、鉄鋼、銅など原材料の原価高騰を背景に、ある物流業者は「製造コストが上昇しても、得意先の圧力でメーカーは価格に転嫁できないのが現状。そうなれば、物流のさらなる最適化が必要になってくるはず」と予測、工場内物流、出荷物流など細かく見れば「まだまだコスト削減できる余地がある」と指摘する。 まさに時代は、部分最適といった既成物流から「全体最適」への脱皮を求めている。つまり、企業は物流上の「選択と集中」を迫られているのだ。 その最適化の事例をいくつか見てみたい。 サポート企業との一体化、連携がポイント港湾物流で貨物の荷役、保管、輸送などを手がける門菱港運(北九州市)では、取扱量の7割超をコンテナが占めており、狭くて限られたスペースを効率よく使う物流現場の改革に取り組んでいる。40フィート級の大型コンテナを3段、4段と積み上げなければならないため、先進の大型フォークリフトを導入することで課題をクリア。足場のない中で小回りがきくうえ、ガスの排出量を大幅に低減するなど環境対策も万全なものになったという。小さな改善から全体の効率化へ踏み込んでいる。JA佐城(佐賀県小城市)では昨年、上部団体のJA佐賀経済連に開設した配送センターに、配送を集約する県域物流体制をスタート。人員や設備、配送のコスト削減や納期短縮などで抜本的な物流効率化を実現した。同センターでは米袋を積載効率に優れたシートパレットに積み上げ、まとめて搬送するなど物流機器をフル活用。JAの組織改革が進む中「生産者へのサービス向上と利益還元に結びついている」と物流改善に相乗効果を見いだしている。(トヨタL&S福岡のレポート資料より) 安川電機(北九州市)は、05年度中に物流費を売上高の1%台に抑えるのが目標。SCM(サプライチェーン・マネジメント)を導入したのを契機に、生産物流、販売物流を効率化したが、さらに、9月からは調達物流の最適化にも乗り出した。 同社の物流は、グループの安川ロジステック(同)と協調した3PL(荷主でも納入先でもない第3者が物流全般をサポートすること)を進めており、従来は分散していた商品輸送を一本化することでリードタイム短縮、コストダウンなどの一定の成果を得てきた。今回は、これを調達部門に掘り下げ、物流全体の最適化を果たそうというもので、調達先のベンダーとVMI(ベンダーマネージド・インベントリー)で提携、つまり、部品などを同社が一括して保管し、実際に生産に使った分だけの購入費をベンダーに支払う仕組みを構築することで、調達物流を一本化した。部分最適から全体最適へのステップアップである。こうしたノウハウを生かして同社は一般・海外市場も開拓していく方針である。 このように物流最適化は、高いノウハウをもつサポート企業とのコラボレーションが重要なポイントになりそうだ。 環境に負荷を与えない法規制も視野にさて、国の新総合物流施策大綱をベースに、幹線道路や物流拠点の整備などが進められている。10月には物流新法と呼ばれる「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が施行。主な狙いは物流効率化による国際競争力の向上や環境負荷の軽減などだが、港湾や高速道路のインターチェンジなどといった流通アクセス地点から半径5キロ以内の拠点を使い、物流業務を効率化する事業者に対して、低利融資や債務保証、税の優遇などといった支援が行われる。さらに、2月の京都議定書の発効を受け、支援事業を対象にCО2の2割削減を目指している。トラック販売大手のいすゞ自動車九州(福岡市)では、CNG(圧力燃料ガス)を使う車両をはじめ4月にハイブリッド車を販売開始した。他のメーカーも同様に市場へ投入しており、こうした輸送車の環境対応は一層拍車がかかりそうだ。 地場運送会社中堅のニシヒロ(福岡市)でも、船便と連携したモーダルシフトを近々開始。無理に急ぐ必要のない貨物を中心に、コストや環境負荷の軽減に貢献する動きを見せている。その拠点として物流センターも開設、従来物流の枠を超え、ハード、ソフトを拡充することに力を入れている。 国内企業は、今や中国など海外からの部品調達のウエートが高まり、輸出も拡大、グローバル化の様相を呈している。また、リサイクル法や資源有効利用促進法などによって、廃棄物や不要な製品、部品についても回収して再利用することが求められている。規制緩和が相次ぐ一方で、こうした企業責任が問われる時代に突入したわけで、今後、物流がどう変わっていくのか、注視されるところだ。 次章では、このような物流最適化について、さまざまな角度から問題解決をサポートする企業を紹介したい。 | |||
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