2005年3月号73ページに掲載

KYUSHU & OKINAWA HOTELS 2005

新たなライフスタイルを提案
シティホテル進化へ第2幕

地方都市で宿泊特化型との価格競争激化
勝ち組は地域密着型個性派ホテル

 ■グランド・ハイアット・福岡■ホテルオークラ福岡■ホテルニューオータニ博多/  ■JALリゾート シーホークホテル福岡■フェニックス・シーガイア・リゾート/  ■城山観光ホテル■いわさきホテルズ■ホテル日航福岡■宮交ホテルズ/  ■カヌチャリゾート■沖縄ハーバビューホテル
 各都市で“癒やし”“寛ぎ”の時間や空間を提供し続けるシティホテル。時代の移り変わりや利用者のニーズの変化とともに、その役割も多様化している。例えば、2年ほど前にハード改修が一巡した福岡市では、特に宿泊・婚礼部門で存在感を高める商品を提案。他ホテルとの差別化を具体的に探り始めている。一方、全国区の宿泊特化型ホテルが相次いで進出、低価格競争勃発の様相すら呈している地方都市もある。各都市の独自性を加味しながらシティホテルは、利用者に新たなライフスタイルを提案する存在として次のステージを迎えようとしている。

福岡のシティホテルは宿泊特化型との差別化に成功

 激化するホテル間競争を勝ち残る対策として「他ホテルとの差別化」がいわれて久しい。一方で各都市では、「シティホテルと比べてもハード的に遜色ない」(福岡市・ホテル支配人)宿泊特化型ホテルが次々に台頭。「特に地方都市では、ビジネスホテルとのボーダレス化が進行している」(宮崎市・ホテル幹部)。
 実際、厚生労働省発表によると00年と03を比較した場合、九州・沖縄全県でホテル数が増加。福岡を除く7県では客室数も増えている。その大半がビジネスホテルなどの宿泊特化型ホテルだ。格安料金をうたい文句に全国チェーンホテルが県都の中心部に進出するケースも珍しくない。どこも「需要に比べて客室数は過剰傾向」(同)なだけに、「料金で対抗せざるを得ないのが実情」(那覇市・ホテル支配人)だ。
 「必要以上の低価格競争」(同)の打開策はないのか。そのヒントは福岡にある。90年代後半から00年初頭にかけて宿泊特化型ホテルの建設ラッシュに沸いた同市。県全体の約65%、1万8000室がひしめく激戦区、「客室は過度の供給過剰」(福岡市・ホテル幹部)とあって、当時は「異常な低料金設定」(同)が続出。「慢性的な低収益態勢を自らが招こうとしていた」(福岡市・ホテル社長)。しかし、ここ数年は、この傾向が大きく変化。「宿泊特化型にはないシティホテルの良さを再認識してもらう努力を継続するホテルが増えている」(同)。利用者のニーズを反映したハード改修や新しい活用方法の提案、商品企画力の強化などに力を入れ、「真の意味での差別化」(ホテル幹部)へと経営方針がシフトしているわけだ。
 例えば、グランド・ハイアット・福岡は一昨年、「ハイアット・ブランドにふさわしい高いクオリティーのサービスを提供することで利用者の支持を得ることは可能」(西川克志支配人)との判断から、宿泊料金の一律1000円値上げに踏み切った。利用者の棲み分けを図った対策だったが、「客室稼働率に大きな変動はない」(藤木辰正社長)という。“バリュー・フォー・マネー”を念頭に、「ブランド名にふさわしい商品を適切な価格で提供する」ことを経営方針に掲げるホテルオークラ福岡(金子順一社長)も、同様の経営戦略といえる。
 また、「シティホテルでしか提供できない癒やしや寛ぎの時間」(ニューオータニ九州・山本圭介社長)のように、客室の居住性を1つの集客要因として再認識し、対策を講じるホテルも増えている。例えば、同ホテルは全室の改修工事を進めるが、12階の客室はニューヨーク・アーバン・スタイルをデザインコンセプトに、ワイドサイズのベッドやデスク、マッサージチェアも完備するなど、ワンランク上の内容としている。
 福岡市の各シティホテルは、宿泊特化型ホテルとの棲み分けが成功しつつある。九州最大の激戦区であるだけに、他の都市でも参考になる点は少なくなさそうだ。

入り込み客増も収益改善ない地方都市の苦悩続く

 一方、地方都市のシティホテルは、「福岡ほど市民レベルでのホテル活用法が多様化していないだけに、宿泊部門のウエイトが高くなりがち」(長崎市ホテル関係者)という実情がある。これに各地の特殊事情が加わり、ホテル経営を難しくしている 。
 観光客の増加がホテル間競争に拍車をかけているのが鹿児島と沖縄だ。鹿児島は、九州新幹線の部分開業(04年3月)効果が続く。経済波及効果はやや鈍化したとみる向きがあるものの、各観光地で宿泊客が増加。特に鹿児島市では、ビジネス客の入り込み数が増加し、宿泊者数の増加を下支えする。一方で、これを当て込んだ新規ビジネスホテルも次々に完成。同部門の競争激化に拍車をかけている。
 観光が主要産業である沖縄。相次ぐ台風上陸といった悪条件に見舞われたにもかかわらず、近年の沖縄ブームや航空路線の拡充、大型コンベンションの開催などが追い風となり、04年の観光客数は515万人を突破。05年は対前年比4.8%増の540万人を見込んでいる。 しかし、この活況がホテル部門の収益増に結びつかないのが同県の特徴だ。01年の米国テロの影響で観光客が落ち込んだ際、回復策としてとった低価格設定が現在も続いている。これに低料金の宿泊特化型ホテルの建設ラッシュが拍車をかける。一方で、県北のリゾート地では大型リゾートホテルの開業、建設が相次ぐ。今後は供給過剰も予想され、混迷の様相を呈している。
 入り込み客数の減少が続く長崎では、ホテルの閉鎖、売却が相次ぐ。昨年末には、同市を代表するシティホテル「長崎プリンスホテル」が、本体からフランチャイズチェーン契約の解約を申し込まれていることが明らかとなった。他方、「長崎ビューホテル」を含む2ホテルが、国内大手のホテルチェーン「ソラーレホテルアンドリゾーツ」の傘下入りが決定するなど動きが慌ただしい。
 九州・沖縄で最も客室数が増加しているのが宮崎。前出した厚労省の資料によると、03年の客室数は00年の112.4%。99年と比較すると214.1%と異常な増加率だ。ホテル数は85.2%にまで減っているにもかかわらずである。これはホテル間競争の激化に伴う優勝劣敗が鮮明化していることを示している。
 他方、宮崎市には独自ブランドの確立を進めるホテルもある。宮崎観光ホテルは、市街地にある好立地条件を生かして宴会や婚礼部門が堅調に推移。フェニックス・シーガイア・リゾートは、ゴルフと温泉・スパ施設で滞在型リゾート施設への転換を図っている。

ホテル回帰する婚礼部門 高いクオリティーが要因

 宿泊部門と並ぶホテル収益の柱である婚礼部門。婚礼専門会場にハウスウエディングやレストランウエディングなど新進系のスタイルが加わり、婚礼カップルの選択肢は拡大している。一時期、ホテル業界では新興勢力の台頭を不安視する向きもあった。しかし、ある結婚情報誌のアンケート調査によると、実際に結婚式を挙げた会場はホテル4割、専門会場3割。この数字はここ数年、変化がないという。
 一方で今後同部門は、少子化の影響から市場全体が縮小することが確実。福岡都市圏の年間婚礼数は約9000組とも言われたが、「98年を100とした場合、現在は80程度。2015年には50にまで減少する」(グランド・ハイアット・福岡・藤木社長)という予想もある。ホテルにとっては魅力ある婚礼プランの提供やハード面の整備の重要性が増してくる。
 厳しい状況下にあるものの、福岡市内のシティホテル関係者に焦燥感は感じられない。むしろ、婚礼部門に対する絶対的な自信すら感じさせる。と言うのも、「特に最近、ホテルウエディング回帰が鮮明化している」というのだ。「ハウスウエディングやレストランウエディングといったニーズをくみ取ったプランを提案したことも大きい」(福岡市支配人)。それ以上に、「挙式時の料理やスタッフによるサービスレベルの質や、婚礼前後を通じての特典などホテルの総合力が式場を決める大きな要因として改めて見直されている」(別のホテル支配人)ようだ。「他での婚礼に出席して、最終的にホテルを選択するケースも少なくない」(同)という。
 ハード面の充実ぶりを前提にした商品企画力や挙式時の料理、質の高いサービスといったニーズのシフトは、今後一層加速することが予想される。それだけに婚礼部門は、ホテルの主要な収益部門であり続ける。

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