2004年11月号136ページに掲載
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お菓子特集

■五十二萬石/如水庵 ■セイカ食品 ■石村萬盛堂 ■ニ鶴堂
■千鳥饅頭総本舗 ■馬場製菓 ■ひよ子 ■風月フーズ
■村岡屋 ■江崎グリコ ■ロッテ商事

 九州はまさに“お菓子文化”の地である。それぞれの地域で生まれ、育ったお菓子が、古くから地元ととけ合い、今や地域、九州を越えて親しまれている。そしてそこに大手メーカーのお菓子も加わって、より彩りを添えているが、そうした九州でなれ親しまれているお菓子を特集した。




 〈五十二萬石 如水庵〉

詩心あふれる最高峰のお菓子づくりをめざす
  「この仕事を始めた時、自分が一番好きなお菓子は何だろうと思い浮かべてみると、母方の祖母が作ってくれていた黄な粉もちだった」と五十二萬石 如水庵(福岡市)の森恍次郎社長。この忘れられないおいしさの再現を目指したのが、後の同社自慢の逸品「筑紫もち」の誕生となった。
 そのこだわりは徹底しており、まずもちでは、それぞれの特長の相乗効果でよりおいしくするため数種類のもち米をブレンド。微妙にその配合を変えていき、実に千回近い試作を1年半。その結果、筑紫平野のヒヨクもち、阿蘇の陸稲、富山のこがねもち、この3種類をブレンドすると粘りがあり、かつ歯切れがいい、おいしいもちが出来ることが分かった。水にもこだわった。水に電子を取り入れマイナスイオン化させることに成功、おいしくて体にもいい水を開発し、もちづくりに取り入れた。
 次に黄な粉。琵琶湖のほとりで栽培されている良質の大豆。その皮をていねいに取り除き、口どけのよい、味と香りの調和がとれた、上質な黄な粉を作り上げた。そして黒蜜をつくる黒砂糖も香り高くコクがあり、ミネラル豊富なものを選んだ。
 こうしてついに、万葉の詩がきこえる…「筑紫もち」が誕生。今日に至るまで27年半にわたって絶大な支持を得ることになった。昨年のもち米価格の高騰、それに近年の国内産大豆の需要激増などでの高騰で、これだけ長い間維持してきた1個80円の価格を、11月1日から90円に値上げをせざるをえない状況となったが、同社の「詩心あふれる最高峰のお菓子づくりをめざす」姿勢は不変である。

 〈セイカ食品〉

誰もが知っているロングセラー商品
 セイカ食品(鹿児島市、玉川哲生社長)の「ボンタンアメ」は誰もが知っているロングセラー商品。ボンタンの皮から取った香りを加えた独特の風味は子どもから大人まで幅広い人気を持つ。ボンタンアメの誕生は1926(大正15)年。以来80年、ロングセラー商品として駅の売店やコンビニ、スーパーなどで変わらぬ定番商品となっている。また最近では新たに黒糖入りいもキャラメルと紫いもキャラメルのソフトキャラメルペア(2個組み)を拡販中だ。
 また「南国白熊」は今ではテレビCMの効果もあり全国的に知られるようになったが、以前はこんなエピソードが残っている。東京の大学へ行っていた鹿児島出身者が、夏休みが近づき「早く鹿児島へ帰って氷白熊を食べたい」と言ったところ、周りにいた友人たちが「鹿児島の人って白熊を食べるの」と目を丸くしたという。
 かき氷の練乳かけにフルーツがいっぱい入った氷白熊が誕生したのは、約70年前の昭和7、8年ごろ。鹿児島市の西田本通りにあった綿屋が、夏の副業としてかき氷屋を営んでおり、そこの新メニューとして登場。氷白熊の名前は、かき氷にかけた練乳の缶に白熊印のレッテルが貼ってあったのをそのままもらったそうだ。この氷白熊は大変評判になり、やがて鹿児島市内中の店がこれを出すようになったという。セイカ食品では70年代から、これらを参考に工場生産のカップものに仕上げ「南国白熊」として南九州で販売したところ大ヒット。以来製品改良を繰り返し、現在の味にいたっ ている。

 〈石村萬盛堂〉

もらった人のこころを和ませてくれるお菓子
 鶴乃子のまあるい箱をそっとなでてみると、手のひらにやさしくなじむ、自然なふくらみがあることに気付く。石村萬盛堂(福岡市、石村■悟社長)の創業者石村善太郎は、「競争はするな勉強をせよ。人が角いものを作ればこちらは丸いものを作れ」とよく言い、人と争わず、共生しようとするこころを持つこと、そして人の真似をせず独創的な菓子づくりをする、を信条としていた。その精神から生まれたのが鶴乃子であり、鶴乃子を入れる卵型の箱だった。
 「花持ちし人よりよくる小路かな」。しっかりとした自信を持った人は、自分から人に道を譲りつつ前進するものだ。確固たる実力を備えながら、謙虚でありなさいという意味で、この教えもまた、鶴乃子とともに初代から先代、現社長に受け継がれ、90年のときを超えて今に伝えられている。「よろしく」「ごめんなさい」「たのしかった」。おみやげにはいろんな思いが込められるが、鶴乃子はきっと、もらった人のこころをふっと和ませてくれる。角のない、丸い気持ちがずっと込められてきたお菓子だから。
 味だけでは語れない歴史がある。ふんわり、おいしい。博多銘菓鶴乃子。創業以来、素材を吟味し続けた石村萬盛堂自慢のお菓子である。

 〈ニ鶴堂〉

「偶然の出会い」と販売現場の個性化から、博多銘菓が強化
 この9月、ニ鶴堂(福岡市)が、「博多の女(ひと)」のイメージソングを一新したのには、「偶然の出会いがあった」(橋本由紀子社長)。演歌歌手、尾形大作氏はもともと「博多の女(ひと)」のファンで、よく買い寄せていた。それが、福岡県に帰郷した折り、同社に立ち寄ったのがキッカケ。
 折しもその日、1月12日は尾形氏の誕生日で橋本社長と話も弾み、同氏は「二つ返事で」イメージソングの歌を引き受けることに。発売32年目にはいるロングセラーに、しっかりじっくり歌い込むソングが加わった。
 一方で、この長寿商品のワキを固める「博多ぽてと」も北部九州の空港、駅などの店鋪での「売り場演出や商品提案を個性化した」ことで1日平均販売量が1万5000個(発売初年度、1997年の2・5倍)を記録。文字通り、「博多の新銘菓でナンバーワン」を宣言できる位置付けをキープしている、といえる。

 〈千鳥饅頭総本舗〉

親しまれてきた「チロリアン」に、新たにゴマと玉露の味
 チロル渓谷に古くから伝わるロールクッキーに独自のアレンジを加え、素朴な風味をそのままに現代的な技術で焼き上げた「チロリアン」が世に送り出されてはや40余年。千鳥饅頭総本舗(福岡市、原田光博社長)では先の8月から、この「チロリアン」の長く親しまれたコーヒー、バニラ、ストロベリーの3種類の味に、新たにヘルシーなゴマと玉露を加え、さらにパッケージも一新、よりバラエティー豊かなものにした。
 例年期間限定で製造・販売している「ドレスナーストーレン」も相変わらずの高い人気。ドイツを代表する伝統的なお菓子に、同社独自の製法を取り入れたもので、一つひとつ丁寧な仕込みで、ゆっくりと熟成させて焼き上げおり、フルーツとアーモンドペーストがたっぷりの手作りお菓子である。
 同社では現在、駐車スペースを十分備えた郊外型店舗の展開を進めており、「先日、春日市にオープンした春日天神山店も非常に好評であり、今後もお年寄りから子供まで、多種多様なお菓子を楽しんでいただける、こうしたタイプの店舗を増やしていきたい」(原田光博社長)考えである。

 〈馬場製菓〉

待望の新幹線が開通 鹿児島ならではの菓子を
 「ポンカン最中」「薩摩きんつば」「ハローキティかるかん」などを次々にヒットさせ、甘党を魅了している馬場製菓(鹿児島県上屋久町)。同社が理念に掲げるのは「農菓発想」である。これは原料は徹底して鹿児島産にこだわり、それを菓子にすることで農家との共存共栄を目指すもので、馬場甚史朗社長は「地元産にこだわるのは、故郷屋久島に対する強い愛着以外何ものでもない」と力説する。
 そんな同社に今、大きな追い風が吹いている。今年3月に開業した新幹線効果で、鹿児島への観光客が一気に増え、鹿児島みやげが予想以上の売れ行きを見せているのである。同社の人気商品「ハローキティかるかん」は新幹線に合わせデザインを一新。JRのつばめレディの制服を身に着けたキティは、鹿児島限定のみやげ商品となっており、観光客からビジネス客まで幅広い人気を集めている。馬場社長は「つばめレディのキティはJR九州商事さんのご厚意により商品化され、大変感謝している。すでに商標登録を済ませており、鹿児島土産の主力商品となるように育てていきたい」と意気込みを話している。

 〈ひよ子〉

お菓子を通じてお付き合いの輪を広げ、明るい社会をつくる
 発売1周年を迎えた「博多スティックまんじゅう」が、お年寄りから子供まで幅広い人気を獲得、ひよ子(福岡市、石坂博史社長)の新スタイルのおみやげとして定着しつつある。この11月初旬からは1周年記念キャンペーンを実施、名菓ひよ子、ひよ子サブレーに次ぐ商品の1つとして、さらに育てていく考えである。
 同社では現在、商品、店舗、営業展開など、「すべての面において原点に戻って見つめ直し、再構築を進めている」(江崎栄俊・経営企画室課長代理)ところで、その一環として先の10月から「博多の里」に黒豆を新たに仲間に加え、装いも一新して発売した。また、空港でのおみやげ需要をより喚起するため、ひよ子型のフィナンシェを投入した。
 和菓子の専門店として展開している一艸(ひとつぐさ)では、九州ならではの素材にこだわり、自然の持つ安らぎを和菓子の世界で表現、ファンを着実に拡大している。「ひよ子のお菓子を通じてお付き合いの輪を広げ、明るい社会をつくる」という同社の理念が、あらゆる活動の原点であるが、来年は酉年と同社にとってもゆかりの年。さまざまなイベントも計画中で、より一層の飛躍が期待される。

 〈風月フーズ〉

風月オリジナルのシュークリームに人気
 福岡市にある電車やバスの交通拠点を中心に出店する風月フーズ(福岡市、福山義明社長)は、菓子店「ガトー風月」やパン店「バンテルン」など買い求めやすい計14店を展開、新商品が和洋菓子共に評判上々だ。
 昨年3月のリニューアル以来「売り上げ倍増」で勢いに乗る「カフェド風月姪浜店」(福岡市営地下鉄姪浜駅)。中でもオリジナルシュークリームの「浜シュー」が依然として人気を集めている。これを元にしてあられ糖を使った「粕屋シュー」を、6月にオープンした洋菓子店「ガトー風月ダイヤモンドシティ・ルクル店」で発売して好評。さらに7月にリニューアルした西鉄福岡駅中2階の「天神ターミナルショップ店」では、税込み105円で売るシュークリーム「百御縁衆」も話題を呼ぶなど、同社の個性的なシュークリームが相次ぎ顧客をゲットしている。
 また、中秋の名月にちなんで、銘菓「雪うさぎ」にウサギのマスコット人形をセットして販売したところ、生産が間に合わないほどの人気ぶりだったという。

 〈村岡屋〉

「福徳の神」に恵まれた佐賀の観光開発と共に
 村岡屋(佐賀市)が注力するのは、木下敏之同市長の提言に基づいた「観光とお菓子とを一体化させての町おこし」(村岡央麻社長)だ。
 佐賀県全体が「恵比須(えびす、七福神の一神として、福徳を授ける神)に恵まれている」ことに着目する。恵比須像は同市に440体、同県全体では880体を数え、全国一多い。
 そこで同市中心部の女性20人が集まり「えびすめ会」を結成し、恵比須像を巡る市内散策から、複合型商業施設、エスプラッツにはいる店鋪の演出からイベントの企画などを練り上げる。
 特に同市は、郊外から取り囲むように大規模なショッピングセンターが立ち並ぶため、中央商店街の空洞化が目立っているが、村岡社長はその逆境を逆手に取った提案を進める。「郊外は若者向けのショッピングやレジャーの町に位置付け、市内は、訪れるたびに中高年層がホッとできる『熟年のリズムの町』したらいい」と強調する。美術館や博物館をゆっくりと回ったり、上品なカフェでくつろいだり、週末に同県外から出かけてくるファミリーには「子どもと親で、ゾーンによって町を楽しみ分けてもらえれば」とのプランだ。レモン風味のクリームをはさみ込んだブッセ、「街角えびす」もそんな取り組みをやさしく見守っているようだ。

 〈江崎グリコ〉

38年目に、音感も連食性も懐かしく新しい「ポッキー」
 この秋、“ポッキー史上最大のインパクト”で全ユーザーへのメッセージを発信するのが江崎グリコ。「ポッキー」は発売38年目を迎える、同社の主力ブランド。グラスの氷に浮かべたり(70年代、ポッキー・オンザロック)、行楽の友としたり(80年代、旅にポッキー)、低温でチョコレート本来の風味を引き出したり(90年代、冷やしてポッキー)と、さまざまな切り口で、市場を切り開いてきた歴史と実績がある。
 そこでこの10月からは「ポッキーチョコレート」と「メンズポッキー」の中身を増量。
 さらにカカオ量、ビター感もアップして「原点である『ポキッ』という音感の楽しさに加えて、次々に口に運びたくなる、連食性も訴求する」(永尾正之九州統括支店長)ことで、グループ、男性共に支持層を広げる。
 もちろんパッケージも大型化し、デザインも一新。オールドファンにも入門者にも、あらためて「懐かしくて、新しいおいしさと健康」を提案している。

 〈ロッテ商事〉

「キシリトール」で絶好調 社会生活が求める“3R”
 ロッテは「キシリトールガム」で独走状態にある。「キシリトール」とは樹木や野菜に含まれる炭水化物、キシランをもとに作られる甘味料で、(1)虫歯菌に酸を作らせず(2)口内を中性に近づけることから、虫歯予防効果が期待される。同ガムは、ロッテが1997年に商品化して以来、健康増進法の施行(03年)なども呼び水となり、売り上げで対前年比2けたの伸びを見せ続ける。他メーカーが次々に参入しても、ガム市場の中で独走を続けている。
 ただし、同社では「健康志向の後押しもあるが、シャリッとした歯ごたえや、かむことで心身をリラックスさせリフレッシュ。そして、リセットできるガム本来の“3R”機能こそが身上」(中村孝ロッテ商事九州北支店長)と説く。九州や沖縄各県の中高年男性にも、「禁煙や口内ケアから、キシリトールガムにくらがえした」という向きは多いようだが、結局はこの“3R”効果そのものを、ビジネス社会が求めている、とみるべきだろう。

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