2004年11月号95ページに掲載

「持たざる物流」が経営戦略をサポート

物流未来

物流トータルの最適化が成否のカギ

■福岡運輸 ■西久大運輸倉庫 ■ニシヒロ
 消費の停滞、多様化によって商品などのモノの物流が大きく変ぼうしようとしている。利益や効率化を重視する企業にとって物流の最適化が経営改革の命題として掲げられるようになってきた。こうした物流ニーズに、運送会社などの物流業者はいかに対応しているのかを、本特集でレポートする。








経営戦略としての物流システムが台頭

 あらゆる消費が成熟して量的な充足感が満たされ、作ればモノが売れるという時代は過ぎ去った。消費が多様化に向かうにつれて、商品を提供する側は多品種少量生産などで需要を追いかけ、生き残りを図っている。また、バブル経済の崩壊と同時に価格破壊が起きると、企業は売り上げよりも利益を優先して物流コストの低減を図るようになってきた。
 今では多くの企業が物流を経営の中の戦略として位置づけており、物流の効率化、小口化、さらには最適化といった新たなニーズが生まれている。それは、企業自ら物流効率化に着手したり、経営資源を集中させるため物流を専門とする業者にアウトソーシングするいわば「持たざる物流」ニーズである。物流業は、こうした消費傾向や企業経営に敏感に反応するシステムへの変革が迫られており、今、まさに転換期を迎えている。

物流を体系化するマネジメントが普及

 そこから生まれたのがロジスティクス・マネジメントであり、管理する物流の体系化としてサプライチェーン・マネジメント(SCM)がある。
 ロジスティクスとは「必要なモノを必要な時期に、必要な場所で、必要な分だけ供給する」という考え方で、企業の競争力を高めるうえでも有効な経営戦略である。その狙いは、生産と販売のマッチングであり、商品の供給過多による返品輸送や品切れによる販売機会損失といった、ムダなコストや時間をなくすことにある。従って、単なる生産から保管、販売までの流れだけでなく、実際の需要に基づくことに重点を置き、マーケットリサーチから、原材料や部品の調達、生産、販売の後の物流まで、部門の枠を越えるすべての過程を需要に反映させながら統合して、物流全体の最適化を図る。
 こうした企業内の管理を発展させたものがSCMである。SCMでは、原材料や部品の調達先やメーカー、卸業者、小売業者などの複数企業と「供給連鎖(サプライチェーン)」させて、モノや商品のフローまでを管理する。
 さらに、物流のアウトソーシングとして注目されるのが3PL(サードパーティー・ロジスティクス)で、商品の売り手でも買い手でもない第3者が、荷主の物流を包括的に受託するというもの。国内ではこの第3者は運送会社などのほか、倉庫会社や卸業者など。従来の委託と異なるのは、輸送や保管以外に出荷代行や流通加工など物流機能全般を担当する点である。アウトソーシングの高まりを受けて3PLへのニーズは年々高まっている。

地場運送会社も小口化 ネットワーク化に対応

 さて、物流の主役といえばトラック輸送。鉄道、海運などを含めたすべての貨物輸送機関に占めるシェアがトンベースで90%を超えており、国内貨物輸送で大きな役割を担っている。国内貨物自動車輸送量は1990年代に入って減少傾向に転じており、02年は前年比で九州が2.8%減の5億9025万トン、全国でも4.3%減の52億295万トンとなっている(グラフ参照)。ちなみに事業者数となると規制緩和による新規参入で、90年に対して九州は02年で48%増の5567社、全国が45%増の5万7870社と、共に増加傾向にある(国土交通省・陸運統計要覧による)。
 このように市場のパイが縮小する一方で、競合が激化する中、運送会社は生き残りを図るべく、前述したような新しい物流手法の導入やアウトソーシングに対応して、先進の物流センターの建設や情報ネットワーク化などを積極的に推進している。
 九州においても物流に対する考え方が変わりつつあり、その重要性が再認識されている。
 大手の物流会社が集中する東京、大阪に比べて、九州の物流は大半が地場の中小運送会社が担っている。中でも自ら築いた顧客とのパイプを生かし、多品種少量に応じた小口化やネットワーク化というニーズに対して、きめ細かく即応する新しい物流サービスを登場させる地場企業が現れてきた。生産品などを集約する流通センターや、そこから輸送した商品を地方のデポで中継して地域配送するといったネットワーク型の拠点を全国に整備して一貫輸送を行っている。さらに、九州から出荷する荷物を、現地の他の運送会社と連携して現地配送を行い、九州への入荷は代わって地方配送するという地域業者間の協力や、長距離の幹線輸送を他業者に委託するなど、運送会社同士が相互に補完し合うコラボレーションが見られる。
 また、大規模な物流業務の受託や立体自動倉庫などといった高度な物流センターの整備などについても「大手に決して引けを取らない」(福岡県トラック協会)という。

高度情報化も進み 物流に欠かせないツールへ

 こうしたインフラ構築のかなめとなっているのが物流の情報化である。
 受発注、在庫管理、ピッキングのミスを少なくし、作業効率を高めるEDI(電子データ交換)、荷物がどこにあるのかを即座に掌握できる貨物追跡システム、移動させたい荷物と空き車両をマッチングさせる求車求貨システムなどがあり、これにGPS(全地球測位システム)と組み合わせた通信網を使うケースが増えてきた。また、温度センサーによる食品の定温輸送や走行速度を記録するデジタルタコグラフなどの最新機器もトラックに搭載し、これも情報ネットワークによっていつでも確認できる。最近では荷主がこれらの通信手段にインターネットを介してアクセスできるケースも出ている。いずれもムダのない迅速な物流に欠かせないツールで、九州の地場運送会社でも、先進のシステムを構築している企業は少なくない。
 地場企業は何よりも地域に密着しているのが強みで、突発的なトラブル対処や細かいフォローに至るまで、機動的に動くのがモットーである。
 もちろん物流の最適化に荷主と物流会社との理解、協力は欠かせない。無理な時間や場所の設定はかえって荷主、受託業者の双方の効率化にとってマイナスとなる場合も考えられる。
 次ページ以降では、その有力な運送会社を紹介したい。


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