2004年9月号81ページに掲載
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特集 総合エネルギー企業 九州電力

電力会社ではNO.1の評価

グループ全社を挙げて環境経営を推進

「九州のふるさとの森づくり」では10年間で100万本の植林を目指している
 環境保全を経営の重点課題に据えている九州電力の取り組みが、電力・ガス業界で第1位の評価を受けるなど着実に成果を上げている。しかも環境アクションプランの主柱となる環境経営の推進は、グループ全社挙げての取り組みになってきており、「環境に優しい企業活動」をさまざまに展開中である。

5つの柱を据える環境 アクションプラン

 九州電力には、企業理念に沿い01年2月制定した「九州電力環境憲章」がある。「環境に優しい企業活動を目指す」ことをベースに据え、(1)すべての事業活動において、環境保全意識の重要性を認識する(2)すべての事業活動において、豊かな環境の実現を目指す(3)すべての事業活動において、環境情報公開を積極的に推進する―としている。この環境憲章に基づき定めているのが「環境アクションプラン」。これには5つの柱がある。「環境経営の推進」「地球環境問題への取り組み」「循環型社会形成への取り組み」「地域環境との共生」「社会との協調」である。さらに、これら5つの柱にはそれぞれ具体的な行動方針を以下のように定めている。
▽環境経営の推進
 ・環境マネジメント体制の確立
 ・環境効率性の向上
▽地球環境問題への取り組み
 ・温室効果ガスの削減
 ・再生可能エネルギーの推進
 ・省エネルギーへの取り組み
 ・オゾン層の保護
▽循環型社会形成への取り組み
 ・ゼロエミッションへの挑戦
 ・グリーン調達の推進
▽地域環境との共生
 ・発電所、変電所等の環境保全
 ・周辺環境との調和
 ・環境・リサイクル事業への取り組み
▽社会との協調
 ・コミュニケーション
 ・地域における活動への取り組み
 ・国際協力
 ・社員の意識高揚
 ―となっている。

全事業所で環境マネジメントシステム構築

 九電は6月末、「2004環境アクションレポート」を発行した。これは03年度の環境活動実績や今後の取り組み計画などをまとめたもので、96年以降、今回が8回目の発行となる。このレポートは、先に述べたアクションプランが据える5つの柱に、具体的にどのように取り組み、どのような実績を上げ得たかを示したものであり、これを見れば九電の環境活動の実態が分かることになる。
 その中で主要な取り組みについて見てみることにする。
 九電は、支店、発電所、電力所、営業所など、その機能がそれぞれ大きく異なる。そこで環境マネジメントシステム(EMS)を構築するには、事業形態ごとにモデル事業所を選定し、ISO14001の認証取得を目指した。その結果、97年7月松浦発電所が、国内の電力会社で初めて取得。その後、川内原子力発電所、人吉電力所、小丸川発電所建設所と続き、02年度には佐賀営業所と長崎支店が取得し、6モデル事業所すべてで認証取得した。さらに他の事業所では、ISO14001規格の要求事項をすべて満たし、かつ事業所の実態に即したISO準拠システムの構築を目指し、01年度までに火力発電所9事業所で構築を終えたのをはじめ、02年度に51事業所、そして03年度は本店の各室部、社員研修所、総合研究所などを含め79事業所で構築。これにより、145のすべての事業所でEMS構築を完了した。これらの事業所では、省エネ、ゼロエミッション活動などの環境活動について活動目標、計画を定め、全所員が一丸となって環境活動を実践していくことになる。

CO2排出量を前年度より180万トン削減

 大まかに言えば、環境保全を目的とした活動コストと、それによる効果を可能な限り定量的に算定するのが環境会計。環境活動を効率的、効果的に推進するため主要企業で環境会計制度の導入が活発化している。03年度の九電の活動コストは、設備投資など資産計上されるものや出資への当該年度の支出を示す「投資」が181億9000万円、減価償却費、リース代、修繕費、維持運営費、委託費、人件費などの支出を示す「費用」が512億5000万円となっている。これは総投資額、総費用額のそれぞれ9%、4%を占めている。
 さて、これら「投資」「費用」によって、どんな効果が生み出されたか。その最も端的な例が、地球温暖化防止のためのCO2削減と言えるだろう。03年度のCO2排出量は2390万トンだが、これは前年度より7.0%、180万トンの削減になる。これに伴いお客さまが使用する電力量当たりのCO2排出量、つまり使用端CO2排出原単位も前年度の0.336キログラム―CO2/kWhから0.309キログラム−CO2/kWhへと0.027キログラム―CO2/kWh、8.0%低減した。この結果、90年度以降、13年間で販売電力量は約1.4倍に増加したものの、CO2排出量は0.96倍にとどまっているほか、一般家庭でのCO2排出量を年間470キログラム程度削減していることになる。これは原子力を中核として、LNG火力や自然エネルギーである水力、地熱などバランスのとれた電源開発、つまりベストミックスの推進、それに原子力利用率の向上、高効率火力の導入などによるところが大きい。特に原子力発電は、発電時にCO2を排出しないため、原子力発電の利用率を高めれば高めるほどCO2削減効果は大きくなる理屈である。その03年度利用率は、定格熱出力一定運転の実施や定期検査による停止期間が短かったことにより、85.9%から88.9%に向上し、さらに発電電力量に占める原子力発電の比率も前年度の45%から47%に高まったのである。

産業廃棄物のリサイクル率は92%に

 一方、循環型社会形成への取り組みも一段と活発化している。ここでの主眼は、廃棄物の最終処分量を限りなくゼロに近づけるゼロエミッションへの挑戦である。産業廃棄物については、03年度の総合リサイクル率は92%で、前年度から18ポイントも向上した。発生量の約8割を占める石炭灰のリサイクル率が、セメント原料(粘土代替)やセメント混和材、地盤改良材(砂代替)などへの有効活用により、前年度の68%から90%まで向上したのが大きな要因である。また一般廃棄物のうち古紙については、リサイクルルートの確認・確保を行い、02年4月から全社一斉にリサイクル率100%に向けた取り組みを実施、03年度は回収した1875トンのすべてをリサイクルに回した。
 地域環境との共生活動の主なものとして、川内原子力発電所の増設を検討するための環境調査を昨年月から実施しているほか、大気汚染対策としてSOx、NOxの排出原単位を前年度から大きく改善している。
 社会との協調活動では、「エコ・マザー」と「九州ふるさとの森づくり」がある。「エコ・マザー」とは、環境コミュニケーションを図るための九電と家庭のお母さま方とのパイプ役。このコミュニケーション活動は03年10月から始めたもので、同年度だけで45カ所の幼稚園、保育園、子ども会で環境に関する紙芝居の読み聞かせや情報提供などを行い、2840人を集めている。「九州ふるさとの森づくり」は、九電の創立50周年を記念して、01年度から10年間で100万本を植林しようというものだ。03年度は九州各地で11万720本を植林し、3年間の累計は約32万6000本に達している。

グループ40社で6つの統一目標

再生されたトイレットペーパーなど
 そして、環境保全への取り組みは九電だけでなく、グループ全社にも広がっている。すでにグループ会社40社で構成する「グループ経営協議会・グループ環境経営推進部会」を設置しており、03年度から「グループ環境活動計画」を策定した。これに沿って、グループ一体となった環境経営を推進しており、各社で環境マネジメント体制の構築や6項目のグループ統一目標の達成に向け取り組みを展開している。環境マネジメント体制に関しては、6段階を設け構築を進めることにしており、40社のうち当初から部会に加入している26社は、03年度に第1段階を完了した。ちなみに03年度までにISO14001の認証を取得したのは、九電工(本社のみ)、西日本環境エネルギー(全社)、九電産業(環境部のみ)、キューキ(全社)、九州環境マネジメント(全社)、誠新産業(本社のみ)の6社、準拠システムを構築したのは大分エル・エヌ・ジーの1社である。
 一方、グループの統一目標は―
(1)規制対象フロン排出量ゼロ(03 年度実績値4.1トン)
(2)SF6ガス回収率97%以上(同 98%)
(3)オフィス電力使用量を前年度比 1%削減(同前年度比1.7% 増)
(4)古紙リサイクル率100%(同 56%)
(5)コピー用紙再生紙使用率100 %(同72%)
(6)トイレットペーパー再生紙使用 率100%(同93%)
 ―となっている。SF6ガス回収率、トイレットペーパー再生紙使用率は、すでに目標値に近くなっているが、04年度も引き続きグループ各社において、確実な環境負荷実態把握の定着化を図るとともに、グループ統一目標の設定会社数の拡大や、その達成率向上のための諸施策を検討していくことにしている。
 またグループ会社には、環境保全をビジネス化しているところもある。使用済み蛍光管のリサイクル事業に取り組んでいるジェイ・リライツ、機密文書のリサイクル事業を手掛ける九州環境マネジメント、一般廃棄物の焼却処理・発電事業の福岡クリーンエナジー、鶏ふん焼却施設による発電(05年3月操業開始予定)を手掛ける西日本環境エネルギーなどである。
 九電の環境保全に対する、こうした取り組みは高く評価されており、03年公表された日本経済新聞社の第7回環境経営度調査の業種別ランキングで、「電力・ガス」部門において17社中1位にランクされており、自信を深めつつ、取り組みに一段と拍車をかけることになろう。

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