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特集 総合エネルギー企業 九州電力「字幕放送制作センター」を設立在福岡の民放5社などと共同で聴覚障害者・高齢者向け
聴覚障害者、あるいは年をとって耳が不自由になった高齢者にとって、テレビ放送に字幕が付いていれば、どんなに便利だろう。それは情報のバリアフリー化ともなり、障害者の社会参加を容易にもする。その必要性の高まりの中で、国がその普及に力を入れていることを受け、九州電力は在福岡の民放5社などに呼びかけ、共同出資による字幕放送制作会社「九州字幕放送共同制作センター」(社長・小田原智一九電常務)を7月28日設立した。資本金6000万円 80%弱を九電が出資「〜共同制作センター」の資本金は6000万円。九電が76.7%を出資しているほか、民放のRKB毎日放送、九州朝日放送、テレビ西日本、福岡放送が各5%、それにTVQ九州放送、編集会社のメディア21が各1.7%を出資している。設立は7月28日だが、制作ノウハウを習熟する必要があることなどから営業開始は今年12月を予定している。本社は福岡市早良区百道浜の福岡ソフトリサーチパークセンタービル内に置き、当面9人程度の従業員でスタートする。字幕放送は、テレビ番組のセリフやナレーションなどの音声を文字情報(字幕データ)に変換・送信したものを文字放送受信機が受信し、字幕文字をテレビ画面に映し出す。主として耳の不自由な人などがテレビ番組を利用する上で、極めて有効な手段となっている。また専用のチューナーを使用するため、利用者は必要に応じテレビ画面上に字幕を表示できる。専門的にはクローズドキャプションと呼び、最近多い音声補完テロップや外国映画の字幕テロップのようなオープンキャプションとは異なる。 国の調べによると、全国の難聴者は約600万人、聴覚言語障害者は約35万人、聴覚言語障害児は約1万6000人となっている。今後の高齢化に伴って、その数字はさらに増加するのは確実で、また少子高齢化による独居老人の増加も予想されることなどから、字幕放送は情報入手のためのライフラインとして、その重要性は一段と高まっていくと見られている。そこで国は、1997年「テレビジョン放送事業者及び有線テレビジョン放送事業者は、字幕番組・解説番組をできる限り多く放送しなければならない」と法を改正するとともに、「字幕放送の普及目標」を定めた。それによると「午前7時から午後12時までに、新たに放送する字幕付与可能なすべての放送番組を対象に、NHK、地上民放などによる放送については、2007年までにすべてに字幕付与すること」などとなっている。 罰則のない“努力義務”ではあるが、すでにNHKをはじめ、日本テレビ放送網、東京放送、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の民放キー5局は、それぞれ字幕拡充計画を策定し、その普及に乗り出している。ただ、字幕放送を普及させるには、効率的な字幕制作が可能となる技術的方策の開発、字幕データを高速で入力できる人材の育成、字幕制作設備の一層の整備など課題が多く、キー5局にしても07年までの計画目標値は80〜90%にとどまっている。ローカル局にとっては、これらがキー局以上に重い課題になっており、字幕放送拡充のネックともなりかねない状況にある。 人材確保、設備整備やコスト対策などの課題本来、民放各社が独自に取り組むべき事業である字幕放送の普及に、九電が主導的役割を担うことにしたのは、ローカル局のこうした実情があるためだ。要するに、「九州内のテレビ局で制作されている番組については、これまで字幕放送の実績はほとんどなく、07年に向けて字幕放送を拡大していくには人材の確保、設備などの整備、制作日程の確保、コスト対策など、多くの課題を抱えている」ほか、さらに「放送局内での制作は自主制作番組の数からみても非効率で、外注するにも地元に字幕制作会社がないという状況にある。加えて、字幕制作会社は、放送前のテープを預かるので、どこの放送局系列にも属さない独立会社が望まれる」などの課題を抱えているのが実情なわけだ。その一方で、九州においても高齢者の増加により、字幕放送の必要性がますます高まるのは確実である。そこで、九電は「字幕放送は各放送局単位での解決は難しく、九州全体として取り組むべき社会的課題であると判断し、放送局各社ともお付き合いがある当社が、中立的立場で全九州を視野に字幕放送の普及拡大を担う事業会社を立ち上げることにした」のである。 新会社に障害者6人を雇用し、職域を創出それは、企業の社会的責任の一環として主体的にかかわっていくことを意味しているが、この制作センターを九電の特例子会社としているのも同様の趣旨だと言えるだろう。特例子会社制度では、障害者雇用率による義務は、原則として個々の事業主ごとに課せられるが、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を持った場合、一定の要件の下に子会社に雇用される労働者を親会社に雇用されている者とみなす−ことになっている。これにより、障害者にとっては施設整備の改善、職場の人的支援などの面で、より配慮された就業機会の拡大などのメリットが生まれることになる。制作センターを特例子会社としたのは、まさにその趣旨を生かすためである。具体的には9人程度の従業員のうち制作スタッフとして6人程度の障害者を採用することにしており、障害者にとっての新たな職域の創出につなげることで、社会的な要請にも応えたいとの思いを秘めている。先に触れたように、制作センターは将来的には全九州に営業エリアを広げる計画だが、そうなると現状のスタッフ数では不足することになり、障害者をさらに採用する必要が出てくるはずである。九電は中期経営方針の中で、目指すべき企業像の一つとして「社会から信頼され、認められる企業」を掲げ、社会貢献、地域振興活動の展開に力を入れている。今回の字幕共同制作センターの設立によって字幕放送を普及拡大させ、聴覚障害者や高齢者などのテレビ視聴環境の向上に寄与しようとの試みは、新たな観点からの社会貢献、地域振興活動にも結びつくものとも言えるだろう。 | |
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