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特集 総合エネルギー企業 九州電力九電も玄海3号機でのプルサーマル計画決定国内での原子燃料サイクルの確立を目指す
九州電力は、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機でプルサーマルを実施することを決定し、佐賀県と玄海町に事前了解願いを、国に原子炉設置変更許可を申請した。プルサーマルは、使用済燃料を再処理・再利用する国の原子燃料サイクル政策の一環であり、九電は2010年度までの実施を目指している。プルトニウムとウランを混合したMOX燃料
具体的には、回収したプルトニウムはウランと酸化物の形で混合して新しい燃料をつくるわけだが、混合酸化物(Mixed Oxide)であることから、略してMOX(モックス)燃料と言う。さらに、このMOX燃料を現在使われてる原子力発電所(軽水炉=サーマルリアクター)で燃やす。ここまで話を進めると「プルサーマル」の意味が分かってくる。要するに「プルサーマル」とはプルトニウムの「プル」と「サーマルリアクター」の「サーマル」を組み合わせたものなのだ。もっとも、「プルサーマル」は日本独自の造語であり、欧米では単に「MOX燃料装荷」と言われている。 「2010年度までに16〜18基で実施」計画エネルギー資源は有限である。BP統計2003によると、世界のエネルギー資源の確認可採埋蔵量は石油41年、天然ガス61年、石炭204年、そしてウランが61年となっている。何とも心もとない数字である。しかも日本は、エネルギー資源に乏しく、その96%を輸入に頼っており、これら資源をいかに有効に使っていくかが、国のエネルギー政策の根幹となる。その意味でも、使用済のウラン燃料を再利用できれば、それだけウラン資源の有効使用につながり、それはまた石油など他のエネルギー資源を節約することにもなる。さらにはこれまで、日本はウラン濃縮や使用済燃料の再処理の多くを、英国、フランスなど海外に依存しており、ウラン資源を長期にわたって安定したエネルギー源として確保するためには、国内での原子燃料サイクルの確立が急務となっている。一方、ウラン燃料を燃やすと必然的にプルトニウムが生成されるのは先に述べた通りであるが、使用済燃料から回収したそのプルトニウムは、現在電力各社が独自に保有している。九州電力の場合、今年3月末時点で保有プルトニウムは約2.9トンである。この保有プルトニウムの量を減らすことが核不拡散−平和利用につながることになり、この観点からもプルサーマルの必要性が指摘されているのである。 こうしたことを背景に、電気事業連合会は97年2月に既に公表していた内容を再確認する意味で03年12月に再度、「2010年度までに累計で16〜18基の原子炉でプルサーマルを実施する計画」を公表。さらに日本原燃を事業主体に、青森県六ヶ所村で原子燃料サイクル施設の建設を進めている。すでに現在までにウラン濃縮工場が92年3月、低レベル放射性廃棄物埋設センターが同年12月、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが95年4月、それぞれ操業開始しており、原子燃料サイクルの中核施設となる再処理工場も06年7月の操業開始を目指し建設中だ。 日本でも関電などで実証試験済みそれでは、MOX燃料の使用はこれから始まる未知のものかというと、そうではない。資源エネルギー庁の調べでは、すでに40年以上前から今日まで、10カ国の原子力発電所(55基)で累計約4000体のMOX燃料を装荷し、プルサーマルを実施しているのである。現在もフランス(20基)、ドイツ(10基)、スイス(3基)、ベルギー(2基)の4カ国で実施中だ。 実は日本でも使用実績がある。日本原子力発電敦賀発電所1号機で86年から90年にかけて、また関西電力美浜発電所1号機で88年から91年にかけて、それぞれMOX燃料の実証試験を行い、試験後も燃料が健全であったことなどを確認している。これらは軽水炉型の原子力発電所だが、我が国が独自に開発し、79年に運転開始した新型転換炉「ふげん」は、燃料の7割程度までMOX燃料を装荷した実績があり、03年3月の運転終了までに累計772体のMOX燃料を使用した。これは1基当たりの装荷体数としては世界最高である。こうした実証試験の結果を受け、国の原子力安全委員会は95年、MOX燃料の安全性について、原子炉の中でのMOX燃料の特性はウラン燃料と大差なく、MOX燃料の割合が原子炉に使われる燃料の3分の1程度までなら、現在と同じ安全設計、評価手法を使うことができるとの報告書をまとめている。原子力発電については、安全性の確保が何より大事であるのは言うまでもなく、MOX燃料そのものに関してはすでに高いレベルで安全性に対する信頼性が確立されていると言えるだろう。九電も2010年度までをメドに実施先に触れたように、電気事業連合会は「2010年度までに累計で16〜18基の原子炉でプルサーマルを実施する計画」を公表し、その計画に沿って関西電力高浜発電所3、4号機と東京電力福島第一原子力発電所3号機及び柏崎刈羽原子力発電所3号機でMOX燃料装荷の準備を進めていた。ところが高浜発電所で使用予定の英国BNFL社製のMOX燃料の測定データに不正があり、使用を中止、また福島第一原子力発電所や柏崎刈羽原子力発電所での導入についても、東電自体の原子力発電所のトラブル隠しという不祥事によって当面見合わせることになってしまっていた。ただ「2010年度までに累計で16〜18基の原子炉でプルサーマルを実施する」との基本方針は変わっておらず、MOX燃料の信頼性を確認した関西電力は、再び高浜発電所でのプルサーマル実施に踏み切り、今年3月には福井県がこれを了承、MOX燃料導入へ大きく踏み出した。これに続いたのが九州電力である。5月28日「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、玄海原子力発電所の原子炉設置変更許可を経済産業大臣に申請、同時に安全協定に基づき佐賀県と玄海町に事前了解願いを提出した。計画によると、実施プラントは玄海3号機になる。九電の原子力発電所は玄海1〜4号機、川内1〜2号機の合わせて6基だが、どの原子炉でもプルサーマルを安全に利用することが可能である。ただ九電は、エネルギーの長期安定確保、核不拡散の観点から1基でより多くのMOX燃料が利用できることが望ましいとしており、そうすると装荷している燃料集合体が193体と最も多い玄海3、4号機に絞られることになる。ちなみに玄海1、2号機は121体、川内1、2号機は157体となっている。さらに玄海3号機は、4号機より2倍程度広い作業スペースがあるため、MOX燃料専用の大型輸送容器や検査装置の配置スペースが十分に確保でき、燃料受け入れ検査などを実施しやすく、作業の安全性が確保できると判断し、最終的に玄海3号機での実施を決定したわけである。 地元の理解得るため徹底した対話集会先に述べたように、原子力安全委員会は「MOX燃料の割合が原子炉に使われる燃料の3分の1程度までなら、現在と同じ安全設計、評価手法を使うことができる」としているが、九電としては4分の1程度の装荷を想定しており、具体的には玄海3号機の燃料集合体193体のうちMOX燃料は48体を装荷する計画である。また設計基本方針として(1)燃料については、機械設計、核設計及び熱水力設計において原子力安全委員会によるそれぞれの判断基準を満足する設計とする(2)使用済燃料ピットの冷却能力及び未臨界性を十分確保できる設計とする―とし、原子力発電所の安全性を確保する。また、線量評価については(1)平常時の発電所敷地周辺での線量評価は、原子力安全委員会が定めた指針の判断基準を十分満足している(2)さまざまな事故を想定しても、発電所敷地周辺での線量評価及び原子炉施設の安全評価結果は、原子力安全委員会が定めた指針の判断基準を十分満足している−としており、今後国の安全審査で確認を受けることになる。 国は九電から提出された、これら安全性確保策を盛り込んだ原子炉設置変更許可申請を審査することになる。そのうえで佐賀県、玄海町は国の安全審査結果などを参考に総合的に判断して事前了解を九電に出す、という流れである。国の安全審査は約1年かかる見通しだが、九電は「地元の方々にご理解いただき、安心していただくことが最も大切であり、積極的な情報公開や分かりやすい説明に努め、疑問、不安に対して一つひとつ丁寧に答えていく」として、地元自治体・議会はもちん、各地域の漁協、婦人会などへ小まめに足を運び、理解を深めてもらうことにしている。公開討論会の開催も考えており、地元との対話を徹底して進めることにしている。地元から事前了解を得ると、その後、海外での燃料加工、燃料輸送、受け入れ検査などへと進み、九電は「2010年度をメドに」プルサーマルを実施することになる。 | ||
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