2004年8月号92ページに掲載
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田苑酒造

独自の視点で焼酎造りを行い徹底して品質にこだわる



あくまで品質本位 ブームに踊らない焼酎造りを貫く

本坊 幸吉社長
 田苑酒造(鹿児島県樋脇町、本坊幸吉社長)の創業は1890(明治23)年。イモ焼酎の本場、鹿児島のメーカーでありながら、売上比率は麦焼酎が82%を占めており、イモの12%を大きく上回っている。1985年には東京と大阪に営業所を開設するなど、早くから大都市圏の市場開拓に取り組み、販路は両エリアで70%を占める。
 古い歴史を誇る同社は、昔ながらの焼酎造りを継承しつつ、焼酎にクラシック音楽を聞かせるなど最新技術を取り入れたユニークな焼酎造りにも果敢に挑戦。トランスデューサー(音楽振動変換装置)から振動を与え、発酵や熟成を促す「音楽振動熟成システム」により、味に一段とまろやかさが増すという。なかでも「田苑ゴールド」は樫樽貯蔵の先駆的商品で、その琥珀色の焼酎はそれまでの焼酎イメージを一新し、焼酎を高級酒へと押し上げ、多くのファンを獲得した。ほかにも南薩産の新鮮なイモを原料に黒麹で仕上げた「田苑黒」はイモ焼酎ブームにも乗り、注文に追い付かないほど。こうした状況を秋吉宏俊副社長は「売り上げを追えば必ずそこに無理が生ずる。イモ焼酎は8月末から製造に入るが、造ったものはすぐに出荷せず、翌年の3月まで寝かせ、品質の安定を図る。伸び率を最大20%に抑えるのも、あくまで品質にこだわった商品づくりしか行わないという理念に基づいてのもの」と強調する。「田苑」は鹿児島県本格焼酎鑑評会、熊本国税局主催酒類鑑評会で「優等賞」を25年連続受賞するなど同社の高い技術力を証明しているといえよう。

高い技術力が生み出した黒麹造り「もろみ酢」

「音楽振動熟成システム」を装着した樫樽
 その技術力を存分に発揮し開発した商品が03年7月に発売された「もろみ酢」だ。同社研究室と鹿児島大学農学部、九州農業試験場が共同開発したもので、麹菌や酵母によって造られたもろみ酢はクエン酸やポリフェノールを多く含む。またサツマイモが持つ独特の甘さがあるため、ツンとした酸味もなく、非常に飲みやすい商品に仕上がっている。蒸留後のもろみに黒麹菌を加え、天然の甘味を醸す製法は現在、製造特許を申請中だ。秋吉副社長は「大手メーカーが成しえなかった開発を達成できたことは、当社の技術力の高さをうかがわせるもの。産官学の協力が見事に成功した傑作」と自信の表情を浮かべる。鹿児島県の「新ふるさと特産品コンクール」で特賞(県知事賞)を受賞したのをはじめ、インターネットの通販を中心に口コミで広がりを見せ、予想以上の販売量となっている。
 独自の視点から焼酎造りを続ける田苑酒造。徹底して品質にこだわる姿勢は多くの消費者から厚い支持を受けている。

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