2004年7月号126ページに掲載

景気回復を機に、 「ブランド 力」を高める

大手 ハウスメーカー

「大手ならでは」のマーケティング力で、住宅市場に明快な個性を主張する

 ■積水ハウス ■ミサワホーム九州 
 ■大和ハウス工業 ■大成建設ハウジング九州
 2004年。盛夏を前に、九州・沖縄の住宅市場が「動き出す」予感がある。税制上の優遇措置や景況感の好転などをもとに、同市場のダウン傾向に歯止めがかかり、文字通り、『本物志向で永住の家』に注目が集まる。つまり、大手ハウスメーカーの存在感がアップするのだ。

初夏に手ごたえ、業界回復に向けた追い風へ


 九州・沖縄の住宅市場には「ちょうど、初夏の日差しがさしかけつつある」。2003年度の新設住宅着工戸数(全国、国土交通省発表)は117万3649戸(対前年度比2.5%増)で、4年ぶりに増加に転じた。
 このうち、持ち家は37万3015戸(同2.1%)で、九州・沖縄8県の住宅展示場やモデルハウスにも「目に見えて、来場者数が戻ってきた」という声を多く耳にする。
 この背景には、(1)ユーザーが住宅ローン減税の段階的縮小を見越すと同時に、(2)景気回復に伴う、住宅金利の先高感に反応した「駆け込み需要」がある、と思われる。
 さっそく中央大手のハウスメーカーでは「この気運を本格的な市場回復への追い風とする」展開に余念がない。ここで要(かなめ)となるのが、大手ならではのスケールを生かした住宅の性能 、品質、さらにマーケティング力だろう。

スケールメリットを生かし性能・品質で、信頼に応える

 住宅の基本性能は3つ。まずは(1)安全性。風水害や地震、火事などに対して、ユーザーの生命や財産を守ること。次に(2)耐久性で、新築のときの丈夫さを半永久的に保つ構造材でなければならない。
 そして(3)居住性。気候の寒暖の差に関係なく、年間通じて快適に過ごせて、家族の数やライフスタイルの変化など、住まい勝手に順応できるスペースが確保されていること、だ。
 住宅業界最大手の積水ハウスは、鉄骨系のプレハブ住宅で培ってきた技術と工法を木造住宅に生かす。120ミリ(約4寸)のたくましい角柱を使って、木造住宅の弱点といわれる接合部を強化(MJ接合システム)。
 合わせて壁で構造体を作る「壁パネル工法」と、柱と梁(はり、柱の上にはり渡し、屋根を支える材)などの軸組で構造体を支える「軸組工法」を融合させて「自然木のもつ風合いや暖かみを生かしながらも、先進の技術で高性能、高品質の一邸を完成させた」。
 大成建設はコンクリート系プレハブの先駆者。このノウハウを狭小な土地を有効活用した都市型住宅へと反映したのが、コンクリート系「パルコンスイッチ」と木質系2×4住宅「空間王イマジン」だ。先述の3基本性能に加えて断熱性・気密性にも優れる。鉄筋コンクリートパネルで一体化断熱を実現。すき間に湿気が流れ込む余地がないため、壁体内結露(表面に水滴ができて、付着する)心配もない。また、循環型換気システム(タルカス)で、屋内に花粉やホコリなど侵入させず、清浄な空気を満たすことに成功している。

デザイン性と、コミュニケーション力で個別対応

 大和ハウス工業も、鉄骨系プレハブ住宅メーカーとしての歴史が長く、評価も高い。福岡支店の基本戦略はテーラーメードではなく、オーダーメード。出来合いのデザインを提案するだけではなく、「住む人の個性やセンスに応じる住まい」を重視して、ユーザーのさまざまな注文やニーズに対応した家作りを目指す。
 団塊ジュニア世代を中心とした若い購入者層は、有望な市場であり、順調に掘り起こしが進んでいるもようだ。
 こうした、ユーザーとの「個別対応による高性能・高品質住宅」にこだわるのは三井ホームも同じ立場に立つ。ここで市場を開くのは「デザインとコミュニケーション」。同社では営業担当から建築家、設計コンサルタント、インテリアコーディネーターなど分野別、専任のプロがプランを作成。徹底的に納得がいくまでディスカッションを繰り返して「住まいに対する家族の理想やロマンを具現化」していく。
 デザイン面で際立った主張を見せるのはミサワホーム九州。他メーカーでは見られないような「明るい色調の素材を組み合わせ、個性的で存在感ある住まい」を提案し、30歳台後半から40歳台に支持を得ている。
 高温多湿で風水害も多い、九州の風土に配慮した性能もクリア済みだ。

南九州へ新拠点、真価が問われる、これから

 業務拡大に伴い、“発祥の地”に拠点を設けるのが旭化成ホームズ。この6月から延岡支社(宮崎県延岡市)に住宅設計図面などの入力を行う「延岡入力センター」を設置した。これまでは東京と大阪で入力していたが、IT(情報通信技術)インフラが発達したことで、遠隔地でも十分対応できるためだ。
 さて、冒述した通り長く停滞が続いてきた住宅市場も、税制上の刺激や景気回復を起点に、持ち直しつつある。
 新設着工戸数もピーク時(94年の163万戸)に比べれば、3割近くダウンしているとはいえ、(1)不況下で雇用不安がつきまとい、将来にわたってローンを組む住宅購入を手控える中、(2)低コストで安価な住宅が市場に出回るなど「長く荒れ模様が続いたあとで、薄日が差した」感がある。特に、これまで買い控えてきたユーザー層が動き始めている。
 一家で1つ。一生に1度で、人生最大の買い物である住宅には、性能・品質、そしてマーケティング力まで「完璧」を要求して当然。 住宅建築の実績が豊富で、全国ネットのサービス網をもち、文字通り大手ならではのプライドとブランドに賭けた展開に、真価が問われるのはまさにこれから、といえるだろう。

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