2004年6月号134ページに掲載

ITビジネス最前線

拡大するITの有効活用

個人情報流失で企業にも危機感

■フォーサイトシステム /■NECソフトウェア九州/ ■ジェイエムネット
■ 高光産業・西部ガスリビング/■富士通南九州システムエンジニアリング
 企業の今3月期決算や経済指標などによれば景気回復感が徐々に現れている。これには2001年まで「IT景気」と言われた時期の企業の相次ぐIT導入による経営効率化を土台にして、課題とされてきた利益追求型経営が定着して実を結び始めるなど、IT化が大きく貢献している。
 このように社内の体制が整ったことを背景として企業がその次に求める最も有効な方策は、ITをベースとした事業拡大であろう。本特集では、そのさまざまな取り組みを、高まるITニーズと企業・自治体などのIT化をサポートするソフトベンダーの両面から取り上げた。

顧客分析によるIT化で効果的な活用増える

 ニーズが充足し価格だけでは買わない時代に入った。顧客の価値観が多様化すると共にその陰に隠れた潜在的な心理や微妙な感覚をくみ取った企業が、急速な伸びを見せている。パイが広がらない市場で競争を勝ち抜くために、相次ぎ新サービスが開発され、商品流通、顧客管理といったプロセスも革新されてきた。
 中でも顧客情報システムは九州・沖縄でも活用例が増えている。
 ある地場百貨店は同システムを使って、DMによる来店率を2けたに引き上げる成果を得た。その際単に顧客分析をDMに反映するだけでなく、社員教育にも生かし独自のノウハウを構築している。また、クレジットカード大手のジェーシービー(JCB)は、ここ数年CRMを使い顧客の嗜好に合わせた情報提供を手がけており、昨年11月からカード会員向けの「JCBニュース九州版」で同社初となる、個人会員特有の消費性向によって異なるオンデマンド情報を提供、「売上目標を超える効果があった」として来年1月から東日本全域に拡大する運びだ。
 福岡県のある自動車販売会社では、このほど営業開拓の強化策の一環で、整備料金システムや自動車保険の案内など各種サービスについて、顧客個人に合った情報提供を開始した。営業活動と抱き合わせで行い、少なくとも数%以上の販売効率向上を見込んでいる。
 こうした例は顧客分析システム導入によって、はっきりしたIT効果が現れていることを示す。

IT活用が事業拡大の有効手段へ


 情報サービス産業協会(会員数660社余り)によれば、業界売上高は情報化投資に支えられて増加傾向にあり、02年で13兆9731億円(別表参照)。03年は前年比で1%切ったものの、官公庁や金融、製造といった分野の需要増や全体の景気回復感に支えられて10月以降はプラスに転じ、今年2月(同1.9%増)まで5カ月連続増と上向いている(経済産業省・特定サービス産業動態統計による)。九州・沖縄は02年地域別構成比が3.7%で、売上高は5185億円と伸びており、IT化は中堅・中小企業も含めて徐々に進んでいる。
 従来は業務効率化という観点からの導入が大半だったが、冒頭の例のように、ここ数年は事業拡大の有効手段としての活用にステップアップしている。ただ、これらのケースは鉄道のIC自動改札機のようにITを導入してすぐに効果に結び付くものと、顧客分析のように活用してはじめて効果が上がるようなものとに分かれる。
特に後者の顧客分析の場合、一元化された情報の裏に隠れたニーズをどう読み取るか、またデータのどこに着眼しどのように生かしていくかは、使う人間の知恵が要求される。同じようなシステムにもかかわらず収益に結び付いた企業と効果を見い出せない企業とに明暗が分かれるのはこのためだ。
 一方では情報管理をしたほうが、しないよりも果実を獲得する効率を高めるのは間違いない。これによって、販売機会やニーズの間口を広げることで何割かの成果増に導くケースが多々あるからだ。そのアプローチとして情報共有による業務の平準化があるわけだが、その次にくるIT化はIT経営をさらに掘り下げた事業性の確保となってくる。すなわちITは収益向上に欠かせないツールに育ってきたと言えるだろう。

高まるセキュリティニーズかかるコストも増加

 コンピューターウイルスや不正アクセスをはじめ顧客情報の流失も相次いでおり、ここにきてセキュリティニーズが急速に高まってきた。高度な技術を持つ経験者であればセキュリティは簡単に破れるし、社内からの情報流失という内部の問題もかかえ、企業は戦々恐々としている。
 福岡県情報サービス産業協会の冨田峰雄会長(ビーシーシー社長)は、その対策として次の5点を提案している。(1)ファイアーウォールなどを2重、3重にかける (2)未使用時はパソコンの電源を切る (3)ノート型パソコンは持ち出し禁止にする (4)廃棄時はディスクメモリーを破壊する (5)情報管理について社員教育を徹底する (6)ネットワーク管理のアウトソーシングを利用するなどである。パソコン上、ネットワーク上で行われるビジネスは拡大の一途をたどっており、それに比例してこうした問題は一層増加している。そうなれば、ネットワーク全体にかかるコストは今後さらに増えていくと思われる。
 次ページ以降では、そのIT環境をサポートする有力なITソリューション・ベンダーを紹介したい。

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