The九州「鉄造狛犬」全国でも希有。鎌倉後期作の鉄製こま犬(国重要文化財=昭和46年6月22日指定)「あ・うん」の呼吸とはよく耳にする言葉だが、元をたどれば梵語、つまり古代インドの言葉である。通常は、共にひとつの事をする時など、いちいち確認しあわなくてもお互いの気持ちがわかりあえる者同士をいう。 「あ」と「うん」の実際は、寺院山門に立つ仁王や狛犬などのことである。「あ=阿」は開口音、「うん=吽」は閉口音の意味を持ち、呼気と吸気、最初と最後との意味もある。いずれにしても一対でないと「あ・うん」の呼吸は成り立たない。 高千穂神社に伝わる「あ・うん」は鎌倉後期の作と伝えられる。「あ」が高さ54.7センチ、「うん」が63.6センチ。「あ」は口を開いて右前足を踏み出している。太めに巻く髪は雄々しい。対して「うん」は口を閉じて左前足を踏み出し、髪はやや細目でうしろにたなびいている。その像容は左右対称の妙を作り出しているが、共に胸を張り下腹を引き締めた像形はたくましく、この巧みさが鎌倉作りの特徴である。 鋳鉄で作られているせいか、類型的に陥っていないところが高く評価されている。これほどたくましく力強い鉄製の像容は全国でもめずらしく、現在重要美術品として認定されているのは、栃木県の荒山神社に伝わる一躯が知られている程度。しかしこちらは一対ではない。「あ・うん」として存在する高千穂神社の一対は、まさに鉄造狛犬の代表作として注目されている。 | ||
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