長崎特集・・・県北豊富な観光資源と長崎最大の誘客装置を連携県都エリア大幅にしのぐ観光客
県北を代表する観光都市といえば佐世保市と平戸市。両市の調査によると01年度の観光客数は、佐世保市が559万人で3年ぶりに前年比4万6000人(前年比0.8%)減少。一方の平戸市は131万人で同3万9000人(同3.1%)増え、こちらは5年連続で増加している。両市をあわせた観光客数は長崎市及び長崎半島の610万人を大幅にしのぐ。 佐世保市は同市への観光客数が微減に転じた要因として、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)や東京ディズニーシー(千葉県浦安市)といった大型テーマパークの開業、北九州市博覧祭や山口きらら博といった長期イベントが近県で開催されたことが影響したためと分析している。 一方で、観光客数が順調に伸びている平戸市は好調の要因について、96年にスタートした「平戸ひらめまつり」の認知度が高まったことに加えて、00年4月から始めた温泉を目的とした観光客の増加や、旅行代理店とタイアップした全国からのツアー客が増加したためとしている。 以下、両市観光の振興策を中心に、県北の現状と今後の展望を探る。 <小見出し> HTB一辺倒からの方針転換佐世保市の2大観光地といえばHTBとパールシーリゾート。01年の両観光地の観光客数は、HTBへの観光客数が361万人(01年10月に閉園したオランダ村の入場者数を含む)で前年比6.7%の減少。一方で、市内中心部に程近いパールシーリゾートは、九十九島遊覧船「海王」が前年比5.7%増の19万人と過去最高を記録。西海パールシーセンターの入館者数も23万人と前年より微増し、リゾート全体としては前年比5.7%増の85万6000人を記録している。92年の開業以来、HTBが同市最大の観光地であることは、現在も観光客全体の7割近くを占めることから疑いようがない。一方で、市内中心部への観光客数の増加は「HTBと他の観光地との連携の一層の強化」(市観光課)という新たな展開が根付きはじめたことをうかがわせる。 佐世保市はHTBと西海国立公園九十九島の連携による観光活性化を目的に、今年4月から九十九島観光誘致の旅行代理店に対して助成金を出すタイアップ事業を開始している。HTB発着の九十九島観光バスツアーを利用する旅行代理店に対して、旅行者一人当たり500円を助成するというもの。バスの帰着場所をHTBのほか、佐世保駅や長崎空港などにも設定し利便性も高めた。同市観光課ではバスツアー利用者1万人を目標にしている。
新聞やテレビなどマスコミの取材効果もあり夏休み期間中は前年より2万1500人多い5万5000人(前年比63.8%増)が乗船した。同社は今年度の乗船者数を、過去最高を記録した昨年度よりも1万5000人多い21万人と予想している。 <小見出し> 地域密着・連携推し進めるHTB佐世保市内にある各観光地との連携の一翼を担うHTBも、開業10周年を機に地域密着・地域連携を一層、推し進める対策を打ち出している。その一例が県民無料デーの設定だろう。今春から各地域ごとに5回行っているが、10周年記念事業の一環として今回初めて、隣県である佐賀県民を無料招待した。9月14日から30日までの期間中には予想を大きく上回る4万人の来場者があった。また、総額50億円をかけて園内のリニューアルにも取り組んでいる。パサージュや海上散歩道“Love a Pier”、子供を対象としたキッズランドの設置などは、同園の特徴である自然と一体化した景観を損ねない工夫が凝らされている。 さらに、HTBの環境負荷の少ない街づくりは、小中学生の総合学習の一環として自然学習の場としても利用されている。同様に日中国交正常化30周年を記念して開催された環境フォーラムの主会場としても利用されるなど活用方法は広がりをみせる。フォーラムなどの開催は、アルカスSASEBOといった佐世保市が保有するコンベンション施設との連携も生まれることから新たな展開への期待も高いようだ。 今年で市制100周年を迎えた佐世保市では、来年3月まで数多くのイベントが催される。近くは、11月17日に開催される「第22回 全国豊かな海づくり大会」。同大会までの完成に向けて、駅前再開発事業など新たな街の顔も完成しつつある。一連の取り組みは、HTBとパールシーリゾート、他の観光地との連携に相乗効果を生み出すための対策にほかならない。佐世保市観光の新たな形態が生まれるのもそう遠くなさそうだ。 <小見出し> 「観光・食・温泉」で活性化関東や関西圏からの旅行者が比較的多い佐世保市に比べて、同じ県北でも平戸市は福岡県などの北部九州や長崎県内からの観光客の比率が高い。この傾向は団体旅行から個人・小グループ旅行への転換、「安・近・短」という近年の傾向が強まるにつれ一層、顕著になっている。前述したように平戸市は96年から5年連続で観光客数が増えているが、その要因は「観光を産業基盤とした復興に目覚めた地元住民の努力の結果」(平戸市観光商工課)にあるという。というのも同市の観光客数は91年の153万人をピークに減少を続け、96年には115万人にまで落ち込んでいた。「市民の目覚め」という表現は、当時の状況の解決策として市民が率先して行った温泉の掘削と天然ひらめを平戸の食文化として根付かせる取り組みを指す。 平戸市は日本有数の天然ひらめの漁獲高を誇る。旬は1〜4月で、それまで主に関東地方などに空輸していたが、全国的な地産地消運動の高まりを受け地元で旅行客に提供しようという気運が高まった。そこで96年から開催したのが「平戸ヒラメまつり」だった。 地元ホテル・旅館など15業者と地元漁協とのタイアップで始めた取り組みは話題を呼び、日帰り客数が増加。翌97年から観光客数は増加に転じ、01年は平成に入って以降最高の日帰り客数となっている。宿泊客数は伸び悩んでいたが、00年4月からは市内の旅館・ホテルで天然温泉を開始したことで、同年からは宿泊客数も増加に転じている。 この「観光・食・温泉の3点セットを民活で定着させたことが平戸観光復興の起点にある」(同市観光商工課)ようだ。 <小見出し> 歴史・文化を再評価して情報発信
この祭りは、松浦史料博物館や平戸城などをメイン会場に、地元商店街の至る場所に、旧平戸藩主・松浦氏に縁のあるひな人形や旧家に代々伝わるひな人形を飾るもので、今春初めて開催。ヒラメまつりと開催時期が重なったこともあり、期間中は予想を大きく上回る約7万人が訪れた。 また、福岡県吉井町や大分県日田市など九州各地の個性的なひな祭りを行う10地区からなる「ひなの国九州」(企画・九州地方観光協議会、九州観光誘致促進協議会など)にも加盟し、効果的に情報発信できる体制が整いつつあることも同市には有効に働きそうだ。平戸市では住民が主体となった取り組みを行政がバックアップする手法で観光振興を図り、同産業を基盤とする市経済の活性化策を進めつつある。 | |||
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