2002年11月号88ページに掲載
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長崎特集・・・LEADER

街づくり=観光振興の視点が不可欠

埋もれた資源を発掘し、新商品をつくり出していく

長崎県観光連盟 野崎 元治会長(長崎商工会議所会頭、十八銀行会長)

 造船、漁業、観光 ― 長崎県の基幹産業として、県経済を長年支えてきた。しかし、造船、水産はかつての勢いをなくし、これに代わるべき新産業が育つには、なお時間が必要だ。必然的に観光に対する依存度が高まることになる。











<小見出し1(Rodin DB)>

組織を大幅拡充した観光連盟

 観光は長崎県の基幹産業の一つであり、観光消費額は農業粗生産額と漁業生産額を合わせても、なお上回る。しかも造船、漁業がかつてほどの力を見せきれなくなっており、それだけに「観光立県」とのスローガンが、一段と重い意味を持つことになる。
 「造船は依然、基幹産業ではありますが、ご承知の通り厳しい国際競争にさらされ苦戦しています。豪華客船を2隻受注するなど部分的には面目を保つケースもありますが、全般的には地域経済を支えるのに、かつてほどの力強さが薄れてきたというのが正直なところでしょう。また漁業は、韓国や中国などとの競合、あるいは資源の問題などもあって、相当に厳しくなっているのは否定できません。それで、これに代わるべき新しい産業を興すため官民挙げて取り組んでいるところです。IT関連、サービス業などの一部に元気のある企業が出てきていますが、まだ産業と呼べるほどには厚みがありません。未来型産業が形成されることを期待しているのですが、まだまだ明確には見えてきていないわけで、いずれにしても新しく産業を育て上げるには、それなりに時間が必要です。そうしますと、当面は観光に依存しなければならず、その振興に一段と力を入れなければなりません」
 実際、県は99年4月金子知事を本部長とする「県観光活性化推進本部」を設置、さらに00年を「観光立県元年」と位置付けるなど、観光振興に一段と力を入れ始めた。その一環として、県観光連盟を人、予算両面からテコ入れ、会長にも県経済界のリーダーである野崎氏が就任するなど官民歩調を合わせた取り組みとなっている。
 「観光連盟は、昨年4月それまで4人のスタッフだったのが、一気に17人に増員されました。そのスタッフも県、市、町からの出向者のほか、ハウステンボスや旅行会社社員など官民合同の体制となっており、さらに韓国・釜山市からの職員も加わっています。また予算も大幅に増額され、これも“観光立県”への金子知事の並々ならぬ意気込みだと思っています」 <小見出し1(Rodin DB)>

「創る」「得る」「受け入れる」

 体制を強化した観光連盟は、観光客の誘致対策に全力を挙げており、本年度の事業の柱として『新世紀ながさき観光交流事業』を据えている。
 「観光連盟の仕事は、いかに観光客を増やすかに尽きると思います。そのための手立てをいろいろ講じているわけですが、本年度の事業の柱として取り組んでいます観光交流事業は、一つには魅力ある旅行商品の開発やセールス強化を図るための『ながさき新商品造成事業』(創る)、観光映像ライブラリーの提供や宿泊案内などの充実を図るための『ながさき新観光情報提供事業』(売る)、そして、もう一度来たい観光地づくりを目指し観光地点検事業を核とする『もてなしの心推進事業』(受け入れる)などを進めています。要するに提案型のセールス、観光商品を伴った誘致活動を展開しているわけです」
 『新商品造成事業』に関連して、長崎県は既存の観光資源のほかに、まだまだ発掘されていない資源が多い。眠っている資源をどう生かしていくかも課題だろう。
 「例えば五島列島をはじめ各地に点在している教会です。これにつきましては、一部に世界遺産に指定してもらおうとの動きがあり、それほど文化的、歴史的に貴重なものです。それぞれの地域が手を結ぶことによって、これが一つの大きな観光資源になるはずだと思っています。また長崎市の寺町一帯にしましても、町名が示す通り、お寺が並び非常に情緒豊かな街並みです。これももう少し観光資源として目を向ければ、新しい商品になり得るのではないかと思っています。これらは、ほんの一例ですが、本県にはまだまだ眠ったままの資源が多いと思いますので、これらをいかに資源として活性化させていくかも課題です。また街づくりには観光の視点が欠かせないと思います。街ににぎわいをつくり出すことは、人が集まることにつながります。例えば、出島の復元事業やアーバン・ルネッサンス2001構想の一環として現在進められている長崎港のウオーターフロント開発は、観光振興の面でも大きな意味を持つ事業だと思っています」 <小見出し1(Rodin DB)>

中国客の誘致には九州一体で

 また長崎県は、アジア各国からの観光客誘致に力を入れている。特に海外旅行が解禁された中国に寄せる期待は大きい。
 「01年の外国人宿泊客数は、約40万5000人ですが、このうち30万8000人がアジアからの客です。中国からは約1万1000人で、実数は台湾、韓国、香港にまだ及びませんが、対前年比で見ますと、中国は14.9%も増加しており、台湾、韓国、香港のそれを大幅に上回っています。観光客誘致の努力の成果がはっきりと出ており、今後もさらに力を入れる計画です。一般の観光客を誘致するのは当然ですが、そのほか中国からの修学旅行誘致にも力を入れたいと考えています。すでに上海の教育委員会や学校関係者との交流が進んでいまして、すでに実績も出てきています。もちろん本県からも中国への修学旅行を実施、あるいは計画している高校もあります。要は若い人たちの交流を進めることが、将来のためにも非常に重要だろうと思います」
 ただ現実には中国からの観光客は、北海道や東京などへ流れており、九州は遅れを取っているとの指摘が旅行関係者の中に多い。
 「残念ながら、そうした指摘は否定できないと思います。中国の人たちに九州の魅力をもっと知ってもらう努力が必要です。九州には北海道に負けない自然があり、中国の人たちに人気がある温泉も各地にたくさんあります。それに料理ですね。どれをとっても損色ないのに北海道に客を奪われている。また東京には東京なりの魅力があるには違いありませんが、九州には東京にはない魅力があるはずです。そうした九州の魅力をどう売り込んでいくか、これは長崎県だけで取り組んでも限界がありますので、九州が一体となって考えるべき課題だろうと思います」

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