2001年9月号89ページに掲載

カードVS現金カードVS現金

■国内信販 ■日本信販

総合割賦が解禁、ICカード発行本格化でクレジットカードの利用機会が増大

 銀行系カード会社は総合割賦の分割払いが解禁され、7月、一斉に取り扱いを開始した。この分野で先行する信販系などカード各社との競合や、分割払いの取り扱い拡大の動向が注目される。一方でセキュリティに優れるICカードの発行も本格化。ショッピングで圧倒的な現金払いに、クレジットカードがどこまで食い込むことができるのか。その利便性はますます高まりつつある。

銀行系カードに分割払いの“新機能”が付加

 総合割賦の解禁が、クレジットカード市場の活性化をもたらすかどうか…。7月に総合割賦の分割払いを開始したのは、ジェーシービー(JCB)、三井住友カード、ユーシー(UC)カード、ミリオンカード(MC)サービス、ディーシー(DC)カードの銀行系カード大手5社。これまで信販系、流通系カード会社など銀行系以外のカード会社に取り扱いが限定されてきたが、垣根がなくなり、各社は利用を積極的に働き掛けている。
 99年のカード利用額に対する総合割賦の割合は11.8%に過ぎない(別表中の99年割賦方式参照)。そのウエートも年々低下、むしろ「一括払いやボーナス払いの利用が増えている」(業界関係者)という。今回の解禁で、分割払いが非分割払いにどこまで食い込むことができるのか、注目されている。総合割賦とは、個々の商品ごとに割賦払い契約を行う個品割賦とは異なり、一度クレジットカード会員になれば加盟店の商品ならサイン一つですぐに分割払いができる方式。2カ月以上にわたり3回以上に分けて代金を支払うのが分割払いの条件で、指定した支払い回数に応じて月ごとの返済金額や支払い手数料(金利)が決まる。これまでの銀行系カードは一括払い、ボーナス払い(1回、2回)、定額月払いであるリボルビングの取り扱いに限定されていた。

分割払いキャンペーンはカード各社に違い

 総合割賦の解禁により、この分野で競合が激化するのは必至だが、現状は「追う銀行系、静観する信販系・流通系」。支払い回数は、銀行系が5社とも3−24回の9種類。これに対して信販系が3回以上で最長が20回、24回、36回のいずれかで各社まちまち。利用額に対する手数料の実質年率もJCBが一律12%、三井住友、UC、MCが10.25−12.75%、DCが10.20−13.3%。信販系はジャックスの最少9.75%、ライフの最大13.8%までの間で各社異なるが、銀行系と大きな開きはない。流通系も同様だ。
 キャンペーンなどの利用の促進策については銀行系が積極的攻勢に出ている。JCBは手数料半額(8月まで)や人数限定のキャッシュバック(毎月)、三井住友は手数料半額(9月まで)、ほかの各社ではギフトカード贈呈、商品10%オフやポイント2倍サービスなどが見られる。これに対して信販系は、国内信販がポイント2倍キャンペーン(9月まで)、ジャックスが手数料半額(8月まで)といった以外、トップの日本信販をはじめ各社に目立った動きはない。
 従来から総合割賦を取り扱う信販系カード会社では今回の解禁を「分割払いの利用に相乗効果が出る」と歓迎する一方で「同じ分割のリボ払いが伸び悩んだ例を見れば、過大な伸びは見込めないのでは…」との見方も。これまでの実績やシステム、与信などで先行するノウハウで、優位性を保つ構えだ。

支払いの選択肢広がり消費拡大に寄与

 銀行系カード会社にとっては、総合割賦は、既存カードのままで大きなコストをかけずに新規開拓できるし、加盟店手数料が引き下げ傾向の中、総合割賦の金利手数料は新たな収益源として見込めるので、プラス効果が期待できる。都銀などの銀行系カードと提携する地銀系カード会社にとっても同じで「取り扱うことでサービス拡充、売り上げ増につながる」(福岡カード)、「顧客に支払いの選択肢が広がり消費拡大に寄与、カード加盟店も増える」(西日本カードサービス)との声があがる。加盟店でも「リボ払いよりも分かりやすい」(三井住友カード九州支店)など、好評だ。7月の取り扱い開始後も「滑り出しはよく、予想を上回っている」(UC)「リボ払いよりも好スタート」(三井住友)と順調に始動。福岡市の博多大丸では「売り上げに対するかさ上げはあまり見込めない」としながらも、銀行系カードの取り扱いはブランドとのポイント提携で年々増えており、ハウスカードの「ゴールドカード」(分割払い付き)と共に、売り上げ増を図っている。
 ただ前述したように、分割払いはすでに普及した分野でもあり、銀行系カード会社が新たに開拓するのは容易でない。既存カードとの差別化も難しいとの指摘もある。
 とはいえ、解禁によって分割払いがどれだけ伸びるのか、カード各社が注視しているのは確かだ。それに、総合割賦の解禁でカードに機能上の差はなくなった。通常のポイントサービスに加えて、どこでも使えるといった利便性が高まり「現金よりもカードが便利」という意識が消費者にますます浸透しそうだ。

銀行合併など再編で系列カード同士も統合

 ところで、一連の都銀再編で三井住友カードのように系列カード会社同士の合併が相次いでいるが、地銀系カード会社もその影響を受けている。すでに99年、福岡銀行系の福岡カード(JCB)が福銀クレジット(UC)を、福岡シティ銀行系の九州カード(VISA)が福岡シティカード(JCB)を相次ぎ統合、合併。00年9月には西日本銀行系の西日本カードサービス(MC)が西銀ユーシーカード(UC)の営業譲渡を受けた。同行傘下には西銀ジェーシービーカード(JCB)もあり、母体行が両社1本化に動いている。九州の他の地銀系カード会社も銀行系列内でいずれは再編される方向だ。「同じ銀行系列にもかかわらずそれぞれ別個のシステムを持っているのは非効率」(地銀カード幹部)だからだ。例えば肥後銀行は取り扱うJCBとUCのカード会社が別々。

近未来を想像させるICカードが本格化

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 21世紀に入った今年、近未来生活を想像させるICカードが、来年以降の取り扱い本格化に向けて準備が進んでいる。全銀協などの標準仕様の統一を背景に、UCが3月、三井住友、トヨタ自動車などが4月に新規発行開始するなど、カード各社がICカードに順次移行。02年までには大手のほとんどが発行で足並みをそろえる見通しで、端末機も普及させ05年には一般市場で大方使えるようになる。
 課題はある。端末機は1台10万円を下らないといわれ、全体ではおよそ900億円の投資が必要となりコスト負担は大きい。こうした問題が未解決でいながら普及を急ぐのは、偽造カードなどによる不正使用対策にかなりの効果が期待できるからだ。ICカードは最大1万6000文字を記憶する大容量マイクロチップを埋め込んでおり、偽造が難しくセキュリティが格段に優れている。ネット決済に便利な電子マネーやデビットカード、キャッシュカードなどと一体化すれば、カードの多機能化も飛躍的に進むといわれる。当面は高速道のETC(自動料金収受システム)や少額決済など一部の分野での使用に限定されそう。JCBと日本信販はこのほど、ETCカードの発行を開始した。日本信販では「高速道でのカード利用が取扱高上位に食い込んできた」として有望市場と捉えている。
 国内の消費支出に占めるカード利用額の比率は5%に過ぎないといわれている。日本人特有のカードに対する抵抗感、現金への安心感が足かせになっているとはいえ、米国の20%に比べるとまだまだ利用拡大の余地は残されている。現に、個人消費の低迷にもかかわらず、クレジットカードの取扱高はショッピングを中心に毎年高い伸びを示している(別表参照)。これまで述べた分割払い解禁やICカードの発行などが現金対カードの構図をどう塗り替えていくのか、その行方を左右するのはカード各社の取り組みにあるといえそうだ。そこで、現金利用よりも一層魅力を感じさせる2社のカード戦略を以下のページで紹介する。

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